火災保険でエコキュートの修理費用を補償!故障や災害にも使える特約とは
省エネ住宅やオール電化住宅とともに普及が進んでいるエコキュートは、効率よくお湯を沸かすことができて非常に便利です。
しかし、故障すると修理や交換に多額の費用がかかるのではないかと心配する人も多いと思います。
省エネ効果を期待してエコキュートを設置しましたが、修理費用に何十万円もかかることがあると聞き、不安になっています。しかも、メーカーの保証期間はあと1年で終わってしまうので、さらに心配です。
最近はゲリラ豪雨や台風が増えているので、屋外に設置しているエコキュートが水災の被害に遭うのではないかと心配です。
実は、エコキュートの損害は、家にかけている火災保険で補償される場合があります。
ただし、すべての損害が補償されるわけではなく、事故や損害の種類によっては火災保険で補償できないこともあるので注意が必要です。
火災保険でエコキュートの損害を補償されるケースや、チェックすべき特約やポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
エコキュートの損害で火災保険が使えるのはどんなとき?
エコキュートの損害で火災保険が使えるのは以下のような事故により損害が発生したときです。
- 火災や落雷によりエコキュートが故障した(火災・落雷)
- 台風でエコキュートが倒れて故障した(風災)
- 洪水でエコキュートが水浸しになり作動しなくなった(水災)
- 車でバックした際に、エコキュートにぶつけてしまい破損した(車両の衝突)
- エコキュートが漏電して故障した(電気的機械的事故)
このような事故が発生した場合、エコキュートを設置している建物の火災保険で補償の対象になります。
エコキュートのように建物に付属されている電気設備で、固定されていて取り外しができないため、火災保険では「建物」の一部として扱われるためです。
そのため、エコキュートは「建物」を対象とした火災保険でのみ補償され、「家財」を対象とした火災保険では補償されない点に注意が必要です。
さらに、通常の火災保険では火災、落雷、風災は基本補償に含まれているのが一般的ですが、水災や破損、電気的・機械的事故については、プランや特約を追加しないと補償されないケースがあります。
それぞれの事故について、どのような場合に補償されるか、注意すべき点を詳しく確認していきましょう。
火災・落雷による損害
火災や落雷によってエコキュートが損害を受けた場合、火災保険で補償を受けることができます。
特に、近年では異常気象が増えており、ゲリラ豪雨や激しい雷雨が頻発することで、落雷の発生件数が大幅に増加しています。これにより、エコキュートを含む家庭の電気設備が損害を受けるリスクが高まっているのです。
火災保険でエコキュートの損害を補償する際には、エコキュートは建物の一部として扱われるため、建物の保険金支払い条件に従って保険金が支払われます。
例えば、免責金額が設定されている場合、その金額分は自己負担となり、残りの損害額が保険金として支払われます。また、保険契約において損害額の一部が縮小される条件がある場合も、保険金は全額ではなく一部のみが支払われるケースがあるため、事前に契約内容を確認しておくことが重要です。
風災による損害
風災によってエコキュートが損害を受けた場合も、火災保険で補償されます。
風災とは、台風や強風、竜巻などの風による自然災害のことを指しますが、火災保険ではこれに加えて「雹(ひょう)」や「雪」による被害も風災の一部として補償の対象に含まれています。
具体的に、以下のようなケースでエコキュートに損害が発生した場合、火災保険で補償されます。
- 台風の強風で飛んできた物がエコキュートにぶつかり、損傷した
- 雹が降り、エコキュートが破損した
火災保険の「風災」には、「雹(ひょう)・雪による災害」も含まれます。
水災による損害
建物の火災保険に水災補償が含まれている場合、エコキュートが水災によって損害を受けた際にも補償が適用されます。
水災とは、豪雨や台風などの自然災害によって発生する洪水や高潮、土砂崩れといった災害を指します。
たとえば、以下のような状況でエコキュートに損害が生じた場合、火災保険の水災補償でカバーされます。
- 豪雨による洪水で浸水し、エコキュートが故障した
- 高潮による浸水でエコキュートが壊れた
- 暴風雨による土砂崩れでエコキュートが損壊した
しかし、水災補償は火災保険の基本補償には含まれていないことが多いため、建物の火災保険に水災補償が追加されているかどうかを確認することが重要です。
また、水災補償で保険金が支払われるには以下の3つの条件のうちのいずれかを満たしている必要があるので注意してください。
- 建物や家財など保険の目的に保険価額※の 30%以上の損害が生じている
- 床上浸水が生じている
- 地盤面から45㎝以上の浸水で損害が生じている
これらの条件を満たさない場合、たとえ水災でエコキュートに損害が発生しても保険金が支払われません。
特に、床下浸水など軽度の浸水では補償されないことがあるため、契約内容をよく確認することが大切です。
特定設備水災補償特約
さらに水災補償には特定の設備を対象とした特約が存在する場合があります。
保険会社によっては、「特定設備水災補償特約(浸水条件なし)」を付帯すると、床下浸水であってもエコキュートや空調設備などが損害を受けた場合に補償されます。
- 豪雨による洪水でエネファームが浸水し、修理不可能となり買い替え費用がかかった
- 台風による洪水でエコキュートのポンプユニットが浸水し、修理費用がかかった
- 暴風雨による土砂崩れでエアコンの室外機が破損し、修理費用がかかった
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急激・偶然・外来の事故による破損や盗難
エコキュートの破損や盗難などについても火災保険で補償できます。
火災保険は、火災や自然災害だけでなく、不測かつ突発的な事故や盗難による損害をカバーする補償も含まれています。
- 車が誤ってエコキュートに衝突して破損した
- ボールやバットがエコキュートに当たり、エコキュートが破損した
- エコキュートが盗難にあった
火災保険で対象となるのは「急激・偶然・外来」の事故による損害です。
火災保険で補償されるのは、「急激かつ偶然の外的事故」による損害が原則です。
このため、日常的な使用による経年劣化や、自分で故意に破損した場合などは補償の対象外となります。
近年増えているエコキュートの盗難
近年増えているエコキュートの盗難
近年、エコキュートやエアコンの室外機などの高価な設備を狙った盗難が増加しています。
特に、エコキュートやエアコン室外機は屋外に設置されているため、防犯対策が十分でない場合、窃盗のターゲットになりやすい状況です。
エコキュートの盗難が増加している理由の一つは、その部品や金属に高い価値があるためです。
特に、内部に含まれる銅やアルミニウムといった金属は転売されやすく、犯行グループが狙う対象となっています。
また、エアコンの室外機も同様で、部品や冷媒の価値が高いために盗難リスクが高まっています。
さらに、エコキュートや室外機の盗難は、設置場所が一般的に住宅の外部であることから、犯行が人目につきにくい時間帯に行われることが多く、対策が遅れがちです。
特に、郊外や防犯カメラが設置されていない地域では、こうした盗難被害が発生しやすくなっています。
電気的・機械的事故による損害
火災保険の中には、エコキュートが電気的・機械的な事故で故障した場合でも、損害を補償できるものがあります。
これにより、エコキュートが火災や風災以外の原因で故障した場合でも、保険金を受け取ることが可能です。
- エコキュート内部の電気配線がショートし、システムがダウンしてしまった
- エコキュート内部で漏電が発生し、機械が動作しなくなった
- 点火作動時に不具合があり中の機械装置が焼き切れた
火災保険の基本補償では、こうした電気的・機械的事故はカバーされていないことが多いため、補償を受けるには「電気的・機械的事故担保特約」を付帯する必要があります。
この特約を追加することで、エコキュートや太陽光発電システム、空調設備などの家庭内機器が、電気的なトラブルや機械の故障によって損害を受けた場合にも補償を受けられるようになります。
建物電気的・機械的事故特約とは
「建物電気的・機械的事故特約」とは、建物に設置された設備が電気的・機械的な事故によって損害を受けた際に、その修理費用や交換費用を補償する特約です。
この特約を付帯することで、火災や自然災害以外の、機械の故障といった内的な問題で発生した損害も保険の補償対象にすることができます。
対象となる設備
対象となる設備は、エコキュートの他に、例えば以下のようなものがあります。
- 太陽光発電設備
- 空調設備(ビルトインタイプ)
- エアコン
- エアコン室外機
- 床暖房
- 電動シャッター
- インターホン
- 盗難防止装置
- 食洗機(ビルトインタイプ)
- 電気コンロ(ビルトインタイプ)
- 分電盤
建物に備え付けられていない外付けの空気清浄機や食洗機などは保険の対象となりません。
また、備え付けであっても電球や照明設備など、以下のような設備は対象となりませんので注意してください。
- コンクリート製・ガラス製の機器および器具
- チェーン、ゴムタイヤ、ガラス、管球類
- フィルタエレメント、電熱体
- 潤滑油、操作油、冷媒、触媒、熱媒などの資材
建物電気的・機械的事故特約の事故例
- 給湯器のポンプユニットが稼働中に異物が詰まり、亀裂が生じて温水供給ができなくなった。
- 太陽光発電システムでパネルの接触不良が発生し、一部の系統が動作しなくなった。
- 浴室乾燥機の部品が損傷し、動作不能になった。
具体的にどの設備が対象になるか、詳しく知りたい場合は保険会社や代理店に確認しましょう。
こんな場合はエコキュートの故障でも補償されない
建物の火災保険でエコキュートが火災、自然災害や電気的・機械的事故による損害を補償できることが分かりました。
しかし、すべての故障が補償されるわけではありません。
以下のようなケースでは、エコキュートの故障が補償されないことがあります。
- 経年劣化による故障
- メーカー保証期間内の電気的・機械的事故による損害
- 地震による損害
- 修理費用が低額で免責金額に満たないもの
それぞれのケースの詳しい内容や注意点について解説します。
経年劣化による故障
エコキュートは、長年使用することで部品が摩耗したり劣化したりします。
これは「経年劣化」と呼ばれるもので、通常の使用による自然な損耗です。
火災保険は「急激かつ偶然の外的事故」による損害を補償するものであり、経年劣化や老朽化による故障は対象外となります。
エコキュートは屋外に設置されることが多いため、日常的に雨風や紫外線にさらされ、他の機器に比べて消耗や老朽化が進みやすいリスクがあります。
特に、エコキュートは長期間使用することによって、内部の部品や配管が劣化し、故障が発生しやすくなります。
一般的には、エコキュートは10年以上使用すると老朽化が顕著になり、特に10~15年経過した機器では、経年劣化によるトラブルが増加する傾向にあります。
例えば、タンクの内部が錆びたり、配管に問題が生じて水漏れが発生するケースがよく見られます。
また、ヒートポンプやコンプレッサーといった主要な部品も、経年劣化により性能が低下し、修理や交換が必要になることが増えます。
エコキュートを10年以上使用している場合は、故障を未然に防ぐためにも定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
具体的には、フィルターの掃除や配管の点検、タンクの内部確認など、専門業者による定期的な点検が推奨されます。これにより、部品の摩耗や劣化を早期に発見し、重大な故障を防ぐことができます。
メーカー保証期間内の電気的・機械的事故による損害
エコキュートのメーカー保証期間中に、電気的・機械的事故による損害が発生した場合は、まずメーカー保証が優先して適用されます。
メーカー保証は、製造上の不具合や初期不良、正常な使用にもかかわらず発生した故障などをカバーするもので、通常は購入から1〜2年の間適用されます。
一方、メーカー保証期間を過ぎてからの故障や、保証対象外の損害(例えば、自然災害や盗難など)は、火災保険の適用範囲になります。エコキュートの損害が発生した際は、まずは保証期間内かどうかを確認し、保証が切れている場合に火災保険を検討するという流れが一般的です。
エコキュートの主なメーカーごとの保証期間は以下の通りです。(2024年9月現在)
メーカー | 本体保証期間 | その他・延長保証 |
三菱電機 | 2年 | 熱交換器・コンプレッサー:3年 タンク:5年 |
コロナ | 2年 | 熱交換器・コンプレッサー:3年 タンク:5年 |
ダイキン | 1~2年 | 熱交換器・コンプレッサー:3年 タンク:5年 |
パナソニック | 1年 | 熱交換器・コンプレッサー:3年 タンク:5年 |
電気的・機械的事故以外の火災・落雷・水災など自然災害による損害については、メーカー保証期間に関係無く、建物の火災保険で補償されます。
地震による損害
地震によってエコキュートが転倒したり、故障した場合でも、火災保険ではその損害を補償することはできません。
これは、火災保険が原則として「地震、噴火、津波」による損害を補償対象外としているためです。
地震による被害を補償するためには、地震保険への加入が必要です。
地震保険は、火災保険に付帯する形で契約され、地震による建物や家財への損害をカバーします。
地震保険は政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険で、被害が大きい場合に被災者の生活再建を目的として損害額の一部を支払うのが目的です。
また、地震保険で補償されるのは、建物の主要構造部(基礎や壁など)が一定の損害を受けた場合であり、エコキュートのような設備が単独で損傷を受けた場合には地震保険の対象とはなりません。
免責金額に満たない損害
火災保険で免責金額が設定されている場合、エコキュートの修理や交換にかかる費用がその免責金額以下であれば、保険金は支払われません。
エコキュートの修理費用 15万円
火災保険の免責金額 10万円
支払保険金 5万円
たとえば、エコキュートの修理費用が15万円かかった場合でも、契約している火災保険に免責金額10万円が設定されている場合、実際に支払われる保険金は修理費用から免責金額を差し引いた5万円になります。
仮に修理費用が10万円以下の場合、保険金は支払われず、全額を自己負担することになります。
免責金額を大きく設定すると、その分保険料が安くなるというメリットがありますが、自己負担額が増えるリスクも伴います。そのため、免責金額の設定は、保険料の負担と実際のリスクを考慮して決めることが大切です。
よくある質問(FAQ)
まとめ エコキュートの故障で火災保険を使う場合は補償内容を確認
エコキュートの故障が火災保険で補償されるかどうか、また補償されないケースについてご説明しました。
家屋に設置されたエコキュートは建物の一部と見なされるため、火災や落雷などの自然災害による損害は、建物を対象とした火災保険で補償されます。
ただし、水災や電気的・機械的事故による損害は、火災保険に特約やプランの追加がないと補償されない場合があります。また、経年劣化による故障や、免責金額の設定によって補償が制限されることもあるため、注意が必要です。
エコキュートを火災保険でしっかりと補償したい場合は、現在の保険契約内容や特約が適切かを確認することが重要です。
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