台風シーズン到来前に確認!火災保険の賢い選び方とは
毎年、台風は日本各地に甚大な被害をもたらし、住宅の破損や浸水、家財の損害など、様々な被害を引き起こします。台風の被害に対して火災保険が利用できることをご存知でしょうか?
火災保険は、火災だけでなく、台風による風災、水災、落雷など、さまざまな自然災害も補償します。
この記事では、火災保険がどのように台風被害を補償するのか、具体例を交えて詳しく解説します。
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目次
近年の台風の被害状況
2017年~2020年の台風や豪雨の被害状況は下記となります。
年度 | 主な風水災 | 支払保険金(火災保険) |
---|---|---|
2017年度 | 平成29年 台風18号 平成29年 台風21号 | 300億円 1,078億円 |
2018年度 | 平成30年7月 豪雨(西日本豪雨) 平成30年 台風21号 平成30年 台風24号 | 1,520億円 9,202億円 2,856億円 |
2019年度 | 令和元年 台風15号(令和元年房総半島台風) 令和元年 台風19号(令和元年東日本台風) 令和元年 10月25日の大雨 | 4,244億円 4,751億円 155億円 |
2020年度 | 令和2年7月 豪雨 令和2年 台風10号 | 848億円 932億円 |
損害保険料率算出機構のデータによると、2018年と2019年は、いずれも1年間で1兆円前後の保険金が支払われる非常に大きな災害が発生しました。
火災保険の値上げ
毎年のように自然災害による被害が発生していることを受け、損害保険料率算出機構では、火災保険料率の改定を実施し、各保険会社では火災保険料の値上げが続いています。
また2024年10月にも火災保険の改定があり、値上げが実施される予定です。
地球温暖化の影響
地球温暖化により今後も台風被害は増えると予想されています。
文部科学省 気象庁「日本の気候変動2020」によれば、1時間降水量50mm以上の頻度は、気温が2℃上昇すると1.6倍、4℃上昇すると2.3倍に増えることが予想されています。
損害保険料率算出機構も、地球温暖化が進むと台風の中心気圧が低下し、より強い台風が発生すると予測しています。
台風に対する火災保険の重要性
地球温暖化による気候変動を考慮すると、火災保険はますます重要な備えとなります。
風災補償や水災補償を含む火災保険に加入し、住宅や家財の損害を補償することで、将来の台風被害に対するリスクを軽減できます。
また、契約内容を定期的に見直し、必要な補償を適切に付帯することが推奨されます。
台風は火災保険で補償できる
台風は、強風、豪雨、落雷などの被害が発生することがあり、それぞれの被害によって使用する補償が異なります。
補償の種類 | 内容 |
---|---|
風災補償 | 台風、旋風、竜巻、暴風などによって損害を受けたとき |
水災補償 | 台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、土砂崩れ、落石などによって損害を受けたとき |
落雷補償 | 落雷により損害を受けたとき |
台風 風災による被害
台風は非常に強い風を伴い、この強風によって建物や構造物に重大な損害を与えることがあります。
例えば、屋根が吹き飛ばされたり、壁が破壊されることがあります。
また、強風によって飛ばされた物体が窓ガラスを割ったり、強風で玄関ドアが勢いよく開いてしまい破損してしまった。これらの被害は、火災保険では一般的に「風災」として補償されます。
風災の補償を付けると、雹災(ひょうさい)・雪災(せっさい)も自動で補償の対象となります。
台風 水災による被害
台風は大雨を伴うことが多く、これにより洪水や浸水被害が発生することがあります。
大量の降雨によって河川が氾濫し、住宅地や商業地が浸水することがあります。
また、海岸地域では高潮が発生し、海水が陸地に押し寄せて建物が浸水することもあります。
さらに、大雨によって地盤が緩み、土砂崩れや地滑りが発生することもあります。
これらの被害は、火災保険では一般的に「水災」として補償されます。
ただし、水災には支払条件があり、下記に当てはまらない場合には、保険金のお支払対象となりません。
水災の支払条件
下記のいずれかに該当すれば、保険金のお支払い対象となります。
- 床上浸水
- 地盤面より45cmを超える浸水
- 損害割合が30%以上の場合
特約で床上浸水がなくても補償可能に
保険会社によっては特定の特約を付帯することで、水災による損害の程度(床上浸水や地盤面より45cmを超える浸水など)にかかわらず、特定の機械設備については水災による損害を補償ができます。
特定の機械
空調・冷暖房設備・充電・発電・蓄電設備などが該当します。
例)床暖房、ガス給湯器、電動シャッター、エアコンの室外機、エネファーム(仮定用燃料電池)、駐車場機械設備、蓄電池
台風 落雷による被害
台風は強力な上昇気流を伴い、多量の水蒸気を含んだ雲を形成します。
この雲が上空に到達すると、冷却されて氷の結晶が形成されます。
これにより、雲の中での静電気が蓄積され、雷が発生するメカニズムが働きます。
落雷によって建物や電柱が直接損傷を受けることがあり、また過電流やサージが電気設備や電子機器にダメージを与えることもあります。
これらの被害は、火災保険では一般的に「落雷」として補償されます。
落雷の補償は火災の補償をつけると自動で補償されることが多いです。
風災補償、水災補償、落雷補償の事故事例
具体的な補償事例を以下に示します。
損害事例 | 補償の種類 | 保険の対象 |
---|---|---|
台風の強風で隣の家の屋根が飛んできて窓ガラスが割れた | 風災 | 建物 |
台風で瓦がずれ飛散し、雨漏りが発生した | 風災 | 建物・家財 |
台風の強風で家具が壊れた | 風災 | 家財 |
台風による落雷でテレビのアンテナが壊れた | 落雷 | 建物 |
台風による豪雨で土砂崩れが発生し、家が全壊 | 水災 | 建物 |
台風による豪雨で床上浸水し電化製品が壊れた | 水災 | 家財 |
台風被害で受け取れる火災保険金の種類
損害保険金
台風被害によって建物や家財に損害が発生した場合、その実際の損害額から契約時に設定された免責金額を差し引いた金額が損害保険金として支払われます。
残存物片付け費用保険金
台風による損害が発生した際には、破損した建物や家具などの片付け費用も発生します。
このような費用を補償するのが残存物片付け費用保険金です。
これにより、瓦礫や廃棄物の処理費用を保険で賄うことができます。
臨時費用保険金
台風被害により自宅に住めなくなった場合、ホテルなどの一時的な宿泊費用が発生することもあります。
臨時費用保険金の特約を付帯することで、損害保険金の10%を上乗せして受け取ることができます。
お金の使い道は自由に決めることができ、災害による緊急避難や仮住まいの費用をカバーするために利用することもできます。
火災保険の選び方
ハザードマップを確認
台風の中でも水災が発生するかは、ハザードマップを確認することである程度の予測が可能です。
水災補償を用意すべきかの判断基準になると思います。
ハザードマップとは?
ハザードマップは、自治体などが作成した災害リスク情報を地図上に示したものです。
特に水災に関するハザードマップは、洪水、内水氾濫、高潮、土砂災害などのリスクが高い地域を視覚的に確認できる資料です。
こちらは国土交通省のハザードマップポータルサイトです。
お住まいの住所を入力するだけで、災害リスクを確認できるようになっています。
このように、洪水、土砂災害、高潮、津波の想定被害を確認することができます。
一度、ハザードマップを試してもらうことをオススメします。
住宅タイプ別の必要補償
台風には風災、水災、落雷の被害がありますが、一戸建てとマンション、持ち家と賃貸で必要な補償は異なります。
一戸建てとマンション
一戸建て | マンション | |
---|---|---|
風災 | ○ | ○ |
水災 | ○ | △(上層階は不要) |
落雷 | ○ | ○ |
風災補償
一戸建てでもマンションでも必要な補償になります。
強風で飛ばされた物で窓ガラスが割れたり、建物が破損するリスクはどちらにもあります。
水災補償
一戸建てやマンションの1階は洪水や床上浸水のリスクが高いですが、マンションの上階は一般的にリスクが低くなります。そのため、マンションの上層階に住んでいる場合は水災補償を外しても差し支えない場合があります。
落雷補償
一戸建てとマンションでリスクに差はありませんが、マンションには避雷針が設置してあるケースもあり、落雷が直撃した際のリスクはマンションの方がやや低いです。
一方でマンションの近隣に落雷した場合の、過電流による家電故障などの被害はどちらにも発生します。
持ち家と賃貸
建物 | 家財 | |
---|---|---|
持ち家 | ○ | ○ |
賃貸 | ×(貸主が契約) | ○ |
持ち家
持ち家の場合、建物も家財も全て自分で備える必要があります。
建物も家財も補償する火災保険に加入することが推奨されます。
賃貸
賃貸では、建物の損害は貸主が負担しますが、家財の損害は借主が負担します。
家財を補償する火災保険に加入することが重要です。
建物と家財
火災保険における「建物」と「家財」の違いについて説明いたします。
建物
建物とは、土地に定着している構造物で、主要構造部(外壁、柱、屋根)を独立して具備しているものを指します。具体的には以下のような部分が含まれます。
- 主要構造部(基礎、外壁、柱、屋根)
- 建物に直接付属する設備(エレベーター、エアコン、電気設備、給排水設備など)
- 建物に付属するが直接付属しない設備(カーポート、駐車場、塀、フェンスなど)
家財
家財とは、建物内に収容されている動産を指します。
具体的には以下のようなものが含まれます。
- 家具
- 電化製品
- 日用品
火災保険の保険金請求手続き
保険金請求の流れ
台風被害に遭った場合、火災保険の保険金請求は以下の手順となります。
STEP
事故報告
保険会社もしくは保険代理店に被害を報告します。
事故の日時、場所、状況を詳しく伝えます。
より分かりやすいように損害状況の分かるお写真を送付します。
STEP
書類の提出
保険金請求に必要な書類を揃えて保険会社に提出します。
具体的には、保険金請求書、被害の写真、修理費用の見積もりなどが必要です。
STEP
保険金お支払い
保険会社の査定が完了すると、保険金が支払われます。
査定の過程で、保険会社の依頼を受けた鑑定人が現地調査を行う場合もあります。
保険金が支払われないケース
状況によっては火災保険のお支払いの対象とならないことがあります。
故意・重大な過失による損害
わざと損害を発生させた場合には保険の対象となりません。
地震・噴火・津波
自然災害の中でも、地震・噴火・津波はまったく別の取扱いになっていて、地震保険に加入することで保険金のお支払いの対象となります。
外側の部分が破損していない場合
建物外側部分(建物の外壁、屋根、開口部など)が破損していない場合は、風、雨、雪、融雪水などが建物内部に浸入しても保険金が支払われません。
床下浸水
台風によって洪水が発生した場合であっても支払条件に該当しない場合、保険金のお支払いの対象となりません。
水災の支払条件
下記のいずれかに該当すれば、保険金のお支払い対象となります。
- 床上浸水
- 地盤面より45cmを超える浸水
- 損害割合が30%以上の場合
経年劣化
火災保険は突発的な事故や災害による損害を補償するためのものです。
そのため、経年劣化は火災保険では補償の対象とはなりません。
経年劣化とは、時間の経過や日常的な使用によって自然に生じる劣化のことを指します。
例えば、建物の屋根や外壁が古くなること、あるいは設備が長年の使用で摩耗することなどが該当します。
これらは突発的な事故や災害ではなく、むしろ避けられない自然な消耗です。
時効
保険金請求権の時効は、一般的に3年とされています。
これは保険法に基づいて定められており、多くの保険契約に適用されます。
火災保険の場合、台風の被害が発生した日から3年以内に保険金を請求しなければ、保険金請求権が消滅してしまいます。
火災保険の選び方と申請手続き
住宅の被害程度 | 支援金額 |
---|---|
全壊(損害割合50%以上) 解体・長期避難 | 300万~150万円 |
大規模半壊(損害割合40%台) | 250万~100万円 |
中規模半壊(損害割合30%台) | 100万~25万円 |
半壊 | 支援金無し |
準半壊 | |
一部損壊 |
(2020年7月3日以降に発生した自然災害による被害に適用)
出典:内閣府「被災者生活再建支援法の一部を改正する法律の概要 」
被災者生活再建支援制度
台風被害により住宅が損壊した場合、被災者生活再建支援制度を利用して経済的支援を受けることができます。
この制度では、住宅の解体や再建費用、日常生活用品の購入費用などが支援対象となります。
損害割合が50%以上の場合など、大きな被害が生じた場合でも、支援金の上限は300万円です。
しかし、公的支援だけでは台風被害に対する備えが万全とは言えません。
火災保険と被災者生活再建支援制度を併用しながら、建物の修復、生活再建を進めていくことになります。
火災保険の契約内容は定期的に見直し、必要な補償が含まれているか確認することが重要です。
特に近年の台風被害の増加を考慮し、風災補償や水災補償の有無を確認することが推奨されます。
台風シーズン到来前に確認!火災保険の賢い選び方 よくある質問
まとめ
台風による被害には、風災、水災、落雷の3つがあります。
風災は強風による屋根や壁の損壊、飛来物の衝突などが該当し、水災は豪雨や高潮による浸水、土砂崩れなどが含まれます。台風は雷も伴うため、落雷による建物や設備の損害も発生します。
火災保険では、これらの被害がそれぞれ風災補償、水災補償、落雷補償にて補償されます。
特に2018年と2019年は台風の影響で約1兆円の保険金支払いが発生する大災害となりました。
2024年10月に火災保険の値上げが実施されることもあり、火災保険選びは家計の節約のために重要な位置づけとなります。
複数の保険会社を取り扱う保険代理店に依頼し、よく見比べながら合理的な保険を選びましょう。
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