マンション大規模修繕工事の費用はいくら?相場と資金対策を全解説


大規模修繕のお知らせが届きました。…こんなにかかるの?
マンションに住む多くの方が抱える不安、その一つが大規模修繕の費用です。
数千万円~数億円単位になることも珍しくない出費は、家計に重くのしかかります。
特に40代・50代の方は教育費や老後資金と重なり、60代以上の方は退職後の資金計画を揺るがしかねない問題です。
しかし安心してください。ファイナンシャルプランナーとして断言できるのは、大規模修繕の費用は、正しい知識を持ち、事前に準備することで、決してコントロール不可能なものではないということです。
この記事では、国土交通省のデータに基づく費用相場から、賢い資金対策まで、中学生でも理解できるよう分かりやすく解説します。
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目次
大規模修繕費用は事前の備えでコントロールできる
結論からお伝えします。
マンションの大規模修繕費用は、1戸あたり100万円を超えることも珍しくありませんが、「他人任せ」にせず「事前の備え」をすることで、賢くコントロールすることが可能です。
費用をコントロールする3つの柱
事前の備えには、以下の3つの柱があります。
第1の柱
費用の「本当の相場」をデータで知ることです。
国土交通省などの公的データに基づいた客観的な相場を知ることで、管理組合から提示された見積もりが妥当かを判断することができます。
第2の柱
「長期修繕計画」に基づいた戦略的な準備です。
マンションの修繕計画書を読み解き、専門家のアドバイスも活用しながら、計画的に資金を準備し、無駄な工事を避けるための知識を身につけることが重要です。
第3の柱
「利用できる制度」を最大限に活用することです。
国や自治体が用意している返済不要の補助金・助成金制度は、知っているか知らないかで、負担額が大きく変わる可能性があります。



受け身の「住民」から主体的な「オーナー」へ。この意識転換が成功の鍵です。
なぜ高額になる?大規模修繕費用の仕組みとデータで見る現実



それにしても、なぜこんなに高額な費用がかかるんだろう?



その疑問、とても大切です!まずは公的データから実態を見てみましょう
1戸あたりの費用は100万円超えも珍しくない
国土交通省が令和3年に実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、驚くべき実態が明らかになっています。
大規模修繕工事で、1戸あたりの工事費で最も多い価格帯は「100万円~125万円」で、全体の27.0%を占めています。
次に多いのが「75万円~100万円」で24.7%となっており、実に半数以上の世帯が75万円以上の費用を負担している計算になります。
マンション大規模修繕工事の回数と戸あたり工事金額の関係
| 1戸あたりの工事金額 | 割合 |
|---|---|
| 25万円以下 | 2.1% |
| 25万円超~50万円 | 3.5% |
| 50万円超~75万円 | 9.5% |
| 75万円超~100万円 | 24.7% |
| 100万円超~125万円 | 27.0% |
| 125万円超~150万円 | 17.4% |
| 150万円超~175万円 | 6.8% |
| 175万円超~200万円 | 2.3% |
| 200万円超 | 2.8% |
| 無回答 | 3.8% |
- 工事金額に共通仮設費は含んでおりません。
1戸あたり75万円~150万円が全体の69.1%を占めるため、この金額帯が一つの目安と言えるでしょう。
大規模修繕工事は12~15年周期で行う
マンションの大規模修繕は平均して13年ごとに行われるケースが最も多く、全体の約7割が12〜15年の間隔で実施されています。
マンション大規模修繕工事の平均修繕周期
| 平均修繕周期 | 割合 |
|---|---|
| 9年以下 | 2.2% |
| 10年 | 0.9% |
| 11年 | 4.0% |
| 12年 | 18.8% |
| 13年 | 23.1% |
| 14年 | 15.4% |
| 15年 | 11.1% |
| 16年 | 6.5% |
| 17年 | 3.4% |
| 18年 | 3.1% |
| 19年 | 1.7% |
| 20年 | 0.6% |
| 21年超および未回答 | 9.3% |
1戸あたり75万円~150万円の費用が13年ごとにかかるという計算となります。
40年間住み続け、大規模修繕工事を計3回実施すると、最終的な負担額は1戸あたり225万〜450万円に達します。
工事費用の内訳 何にそんなにお金がかかるのか?
大規模修繕工事の費用は、大きく分けて4つの主要な工事項目で構成されています。
| マンション大規模修繕工事の工事内訳・工事金額 | 割合 |
|---|---|
| 仮設工事 | 22.8% |
| 防水工事(床防水・屋根防水) | 19.3% |
| 外壁塗装 | 14.8% |
| 外壁タイル | 7.8% |
| シーリング工事 | 7.2% |
| 鉄部等塗装 | 4.5% |
1. 仮設工事(足場など)
外壁を塗り替えたり屋上を防水したりする前に、まずは職人が安全に作業できる環境を整える必要があります。
そのために建物全体を囲む足場を組み、落下物を防ぐネットや養生シート、照明・電源・現場事務所などを一時的に設置する工事を「仮設工事」と呼びます。
工事が終わればすべて撤去される使い捨ての設備ですが、資材の量と組立・解体の手間がかさむため、総工事費の約20%を占める大きなコストになります。
2. 防水工事
防水層の寿命はおよそ10〜15年です。
防水層の劣化を放置すると雨水がコンクリート内部に浸入し、鉄筋の錆びやひび割れを招いて建物全体の耐久性が急速に低下します。
屋上や床面の古い防水層を剥がし、下地補修のうえ新しい防水材(シート・ウレタン塗膜等)を重ねて保護し直すのが基本となります。
工事費は大規模修繕全体の約15〜20%ですが、雨漏りや構造損傷の連鎖トラブルを防ぐために欠かせない工事です。
3. 外壁工事(塗装・補修)
外壁はマンションの顔であると同時に、雨・紫外線から構造体を守る重要なバリア。
ひび割れやタイルの浮き・欠損を補修したうえで、仕上げ面を再塗装またはタイル張り替えして防水・防錆性能を回復します。塗料のグレード(シリコン・フッ素など)やタイル面積で費用が大きく変動し、全体工事費の約15~20%を占めることもある中核工事です。
修繕回数と負担感 2回目、3回目の費用はどうなる?



一度乗り切れば安心…じゃないんですか?



残念ながら、回を重ねるごとに費用は増加する傾向にあるんです。
修繕回数ごとの費用相場と工事内容の変化を見てみましょう。
| 修繕回数 | 築年数の中央値 | 戸あたり工事金額 中央値 | 戸あたり工事金額 平均値 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 築15年 | 110.2万円 | 151.6万円 |
| 2回目 | 築28年 | 106.1万円 | 112.4万円 |
| 3回目 | 築40年 | 97.0万円 | 106.1万円 |
3回目以降は物件ごとのバラツキが大きく、「給排水管を同時更新したので200万円近くかかった」といった例も珍しくありません。実際の見積りでは工事項目と数量を必ず精査しましょう。
マンションでは大規模修繕に備えるため、数年おきに修繕積立金を段階的に値上げするのが一般的です。
しかし、その値上げ時期は、多くの世帯にとって家計の負担が大きくなるライフイベントと重なりやすい点が悩ましいところです。
築13年前後 子どもの進学費用や住宅ローン返済がピークを迎える
築25~30年 子どもの大学費用が続くうえに親の介護費用
築40年過ぎ 住民が退職して年金収入に頼るようになる一方で、給排水管やエレベーターの更新といった高額工事が控えています。
このように「家計が厳しいタイミング」と「積立金の値上げ・一時金徴収」が重なると、住民間で合意形成が進まず、必要な工事が先送りになるリスクが高まります。
だからこそ、できるだけ早い段階から長期修繕計画を見える化し、将来どの時期にいくら負担が必要かをシミュレーションしておくことが欠かせません。



「収入の減少」と「支出の増加」のダブルパンチ。これが負担感の正体です。
修繕積立金の2つの方式
高額な費用を工事のたびに一括で集めるのは現実的ではありません。
そこで、毎月「修繕積立金」を支払い、将来の工事に備えて計画的にお金を貯めていきます。この徴収方式には主に2つの方法があります。
均等積立方式
長期修繕計画で定められた期間(例:30年間)に必要な修繕費用の総額を算出し、それを計画期間の月数で均等に割って、毎月ずっと同じ金額を積み立てていく方式です。
メリット
将来にわたって支払額が変わらないため、家計の計画が立てやすいのが最大の利点です。
デメリット
新築当初から将来の費用を見越した高めの金額設定になるため、初期の負担感が大きいと感じられることがあります。
段階増額積立方式
新築当初は積立金を安く設定し、5年ごとや大規模修繕のタイミングで段階的に金額を引き上げていく方式です。多くの新築マンションで採用されています。
メリット
新築時の月々の負担が軽いため、住宅ローンを抱える若い世代にとっては購入のハードルが下がります。
デメリット
将来、積立金が大幅に値上がりすることが確定している点です。値上げのたびに総会での合意形成が必要となり、否決されれば資金不足に陥るリスクがあります。
均等積立方式と段階増額積立方式の違い
| 項目 | 均等積立方式 | 段階増額積立方式 |
|---|---|---|
| 新築時の月額負担 | 高い | 低い |
| 将来の月額負担 | 一定 | 大幅に増加 |
| 資金計画の立てやすさ | 容易 | 難しい |
| 心理的負担 | 最初は重いが後は楽 | 最初は楽だが将来不安 |
| 資金不足リスク | 低い | 高い(値上げ合意形成が難航するリスク) |
| 向いている人 | 長期的な安定を重視する人 | 初期費用を抑えたい人(将来の負担増を許容) |



うちのマンションはどっちの方式なんだろう…心配になってきた



管理規約や長期修繕計画書で必ず確認できます。今すぐチェックしましょう!
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大規模修繕工事の負担を減らす具体的な費用対策
大規模修繕費用の仕組みを理解したところで、いよいよ具体的なアクションプランに移ります。
これからご紹介する行動を一つでも実践することで、将来の金銭的・心理的負担は大きく変わります。
まずは現状把握から始める
何事も最初の一歩は現状把握です。マンションの大規模修繕において、その羅針盤となるのが「長期修繕計画」です。
長期修繕計画のチェックポイント
国土交通省のガイドラインに沿って、以下のポイントを確認しましょう。
計画期間は十分か?
令和3年のガイドライン改定により、計画期間は「30年以上」で、かつ大規模修繕工事が「2回含まれる」期
間以上とすることが推奨されています。
定期的な見直しはされているか?
建物や設備の劣化状況、物価の変動などを反映させるため、計画は「5年程度ごと」に見直すことが重要とされています。この見直しの際には、専門家による「建物診断」を行い、実際の劣化状況に基づいて計画を修正することが不可欠です。



長期修繕計画書は、お住まいの財務諸表です。
放置は将来の大きなリスクです。
業者選びで費用は大きく変わる
大規模修繕の費用を大きく左右する最大の要因の一つが「どの業者に依頼するか」です。
相見積もり(あいみつもり)の徹底
複数の業者から見積もりを取り、内容と価格を比較検討することです。最低でも3社~5社程度から見積もりを取るのが理想的です。
重要なポイントは、すべての業者に「同じ条件・仕様書」を提示して見積もりを依頼することです。
見積書を比較する際は、総額だけでなく、工事項目ごとの単価や数量、使用する材料のグレード、保証期間といった詳細までしっかりチェックしましょう。
大規模修繕コンサルタントの活用
専門的すぎて判断できない場合は「大規模修繕コンサルタント」の活用を検討しましょう。
コンサルタントは管理組合(住民)の側に立ち、第三者の公正な立場で大規模修繕をサポートしてくれる専門家です。
コンサルタント費用は一般的に工事費総額の5%~10%程度かかりますが、専門家の目で無駄な工事を省き、適正な価格で業者を選定することで、結果的にコンサルタント費用を上回るコスト削減が実現できるケースも少なくありません。
国や自治体の支援をフル活用する
大規模修繕の費用負担を軽減するために、ぜひ活用したいのが国や地方自治体が提供する「補助金」や「助成金」です。
これらは原則として返済不要のお金であり、活用できるかどうかで、1戸あたりの負担額が数万円から数十万円単位で変わることもあります。
国の制度 住宅省エネ2025キャンペーン
現在、国が主導する大規模な支援制度として「住宅省エネ2025キャンペーン」があります。
- 先進的窓リノベ2025事業 断熱性能の高い窓への交換
- 給湯省エネ2025事業 省エネ性能の高い高効率給湯器への交換
これらの補助金は、多くの場合、工事を請け負う事業者が住民に代わって申請手続きを行います。
地方自治体の制度
多くの市区町村が独自の補助金・助成金制度を用意しています。
- 建物診断・長期修繕計画作成の費用助成 東京都千代田区、中央区、江東区など
- 省エネ・バリアフリー化工事への助成 断熱改修、LED照明への交換、スロープ設置など
- 利子補給制度 東京都の「マンション改良工事助成」など、融資の利子の一部を自治体が負担



こんなにお得な制度があるなんて知らなかった!



知っているか知らないかで大きな差が出ます。今すぐ調べてみましょう!
それでも資金が足りない場合の対策
計画的に修繕積立金を集めていても、予期せぬ劣化や物価の高騰で資金が不足してしまうことがあります。
その場合の主な手段は2つです。
一時金の徴収
不足分を各戸から一括で追加徴収する方法です。
利子がかからないメリットはありますが、1戸あたり数十万円から100万円以上になることもあり、住民にとって大きな負担となります。
一時金の徴収には、総会で区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要な「特別多数決議」が求められることが多く、合意形成のハードルが非常に高いのが現実です。
金融機関からの借り入れ(ローン)
管理組合が主体となって、銀行などから不足分を借り入れる方法です。
住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」などがよく利用されます。
利息の負担は発生しますが、一時的な大きな支出を避け、月々の返済という形で負担を平準化できるため、住民の合意が得やすいというメリットがあります。



突然の一時金徴収は、ライフプランを大きく狂わせます。
早めの対策が重要です。
管理組合の火災保険料への対策
大規模修繕に加えて組合財政を悩ませるのが、共用部に掛ける「マンション総合保険」の保険料高騰です。
5年ごとの更新サイクルのあいだに料率改定が相次いだ結果、次回更改では保険料が現行の2~3倍に跳ね上がるケースが珍しくありません。
なぜ火災保険料は上がり続けているのか
マンションの火災保険料が値上げされる背景には、主に3つの理由があります。
- 自然災害の激甚化・頻発化
大型台風や集中豪雨による保険金支払い額が急増しています。 - 建物の老朽化による漏水事故の増加
マンションの保険事故で、実は火災よりも多いのが給排水管の老朽化による漏水事故です。 - 築年数に応じた保険料の導入
築年数が古いほど保険料が高くなる「築年数別料率」が多くの保険会社で採用されています。
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2024年10月1日から火災保険料が値上げという報道を見かけた方も多いのではないかと思います。 2024年10月の火災保険料の値上げは、戸建て住宅、分譲マンション、企業の…
火災保険料を賢く削減する5つの方法
管理組合として、この保険料高騰に立ち向かう方法はあります。
- 複数の保険会社から相見積もりを取る
最も重要かつ効果的な方法です。
保険会社によって得意な物件やリスク評価が異なるため、保険料に大きな差が出ることがあります。 - 補償内容を精査し、不要な補償を外す
特に見直しの効果が大きいのが「水災補償」です。
ハザードマップを確認し、リスクが極めて低い場合は外すことで保険料を大幅に削減できる可能性があります。 - 免責金額(自己負担額)を設定・増額する
免責金額を高く設定するほど、保険料は安くなります。
小さな損害は修繕積立金から支出し、大きな損害にだけ保険で備えるという考え方です。 - 長期契約・一括払いを検討する
火災保険の契約期間は最長で5年です。
5年契約で保険料を一括払いにすることで、総支払額が割引になる場合があります。 - マンションの管理状況をアピールする
「マンション管理適正化診断サービス」などを活用し、管理状況が良いと評価されると保険料が割引になる制度があります。
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大規模修繕をめぐるケーススタディ
これまで解説してきた知識や対策が、実際の現場でどのように影響するのか、3つの家族の物語を通して見ていきましょう。
成功例 計画的な準備で負担を軽減
Aさんの住む築12年、50戸のマンションでは、3年後の大規模修繕に向けて修繕委員会が立ち上がりました。
理事に就任したAさんは、まず長期修繕計画書を取り寄せ、住民向けの説明会を開催。独立系のコンサルタントに依頼して客観的な建物診断を実施しました。
その診断結果を基に仕様書を作成し、管理会社系列の業者を含む5社から相見積もりを取得。
徹底的に比較検討し、最も信頼性とコストパフォーマンスの高い業者を選定しました。
同時に、国の「住宅省エネ2025キャンペーン」と市の「断熱改修助成金」が併用できることを発見。
窓の断熱改修工事で合計250万円の補助金を受け取ることができました。
これにより、1戸あたりの負担額が5万円も軽減され、多くの住民が納得して修繕積立金の値上げに合意。工事もスムーズに進み、マンションの資産価値と快適性を大きく向上させることができました。
失敗例 管理会社任せで高額請求に
Bさんのマンションの管理組合は、理事のなり手が少なく、活動も低調でした。大規模修繕の時期が来ても、「専門的なことはわからない」と、計画から業者選定まで、すべてを管理会社に丸投げしてしまいました。
管理会社は、自社の系列工事業者1社からの見積書だけを提示し、総会では形式的な説明があっただけで承認されました。長期修繕計画も10年以上見直されていませんでした。
工事が始まると、業者から「想定外の劣化が見つかった」として、次々と追加工事の見積もりが提出され、最終的な請求額は当初の20%増しに。住民は高額な一時金を徴収されることになり、不満が噴出しました。
後日、近隣の同じ規模のマンションに住む友人に話を聞くと、同様の工事をはるかに安い費用で実施したことを知り、愕然としました。
トラブル例 施工不良と住民対立に発展
Cさんのマンションの修繕委員会は、「とにかく安く」を最優先し、見積金額が最も安かった業者に工事を発注しました。しかし、その業者の実績や保証内容を十分に確認していませんでした。
工事が始まると、騒音や塗料の飛散に関する近隣からのクレームが絶えず、作業員の態度も悪いと住民から不満が続出。
最悪の事態は工事完了後に起きました。わずか1年で屋上から雨漏りが発生。
業者に補修を求めても「保証対象外だ」と取り合ってもらえません。
その業者が、工事の欠陥を保証する「大規模修繕工事瑕疵(かし)保険」に未加入だったのです。
結局、管理組合は別の業者に高額な追加費用を払って再工事するしかなく、住民の間では対立が深まってしまいました。
よくある質問
まとめ マンション大規模修繕工事の費用はいくら?相場と資金対策を全解説
まずは、ご自身のマンションの長期修繕計画書を取り寄せ、今後10~15年でどんな工事が予定され、どのくらいの費用が見込まれているのかを確認しましょう。
将来の支出規模が見えるだけで、家計に与える影響を前もって考えられるようになり、不安はぐっと整理されます。
次のステップは、管理組合に積極的に関わることです。
総会や理事会で「相見積もりの徹底」「専門コンサルタントの活用」「国・自治体の補助金制度の調査と申請」といった提案を投げかけてみてください。
これらはコストの妥当性を検証し、無駄を減らし、場合によっては負担を軽くする現実的な手段です。
一人で抱え込む必要はなく、仲間と共有しながら少しずつ進めれば十分です。
大規模修繕の要は、管理組合が
1.資金計画の最適化(マンション管理士)
2.工事コストの精査(建築コストコンサルタント)
を外部の専門家に任せ、数字と現場の両面からチェックすることです。
これにより、将来の積立金不足と工事費の妥当性が「見える化」され、合意形成がスムーズになり、資産価値と居住者の安心を同時に守れます。長期修繕計画書や見積書の無料レビューも承っていますので、お気軽にご相談ください。


