マンション総合保険の付保割合とは?ちゃんと補償されるの?あなたの「よくわからない」を解決します!
こんにちは。保険相談センター編集部です。
今回は、マンション総合保険の契約や更新の際に理事の方や管理組合員の方からよく耳にする、こんな質問にお答えします。
マンション総合保険の更新のとき、今回は保険料が値上がりするので、付保割合というものを下げたプランを提示された。保険金額を下げると言うけど、災害時の補償は変わらず受けられるのか?
管理組合名義で保険をかける際に、「付保割合とは評価額に対して何%」をどうするとか説明を受けたけど、いまいちわからない
一般の家庭など、個人の火災保険契約の場合には「付保割合」なんてあまり気にしないものなので、聞いたことがない方も多いと思います
個人でかける火災保険とは違って保険料が高いマンション総合保険にとって、付保割合というのは重要なものです。
今回はマンション総合保険で設定する付保割合について解説します。
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目次
マンション総合保険の保険金額は建物の評価を見て決定する
マンション総合保険の付保割合とは、建物の評価額というものに対して設定する割合です。
まずは保険金額の決定の仕方から見ていきましょう。
建物の評価額
建物の評価とは、保険の対象の建物をもう一度同じように建て直したとしたら、費用がいくら必要になるのかを見るものです。
建物の評価の際には、以下の項目を見ます。
建物の評価で見る項目
- 立地(どんな地域に建っているものか)
- 建築年(いつ頃建てたか)
- 延床面積(どのくらい大きいものを建てたか)
- 主要構造部の材質(何を建材にして建てたか)
延床面積以外の情報から、1㎡あたりの単価を出して面積と乗算し、建物の建て直しの費用がいくら位を計算して出します。
マンション共用部分の評価額
一戸建ての住宅や、アパートをまるごと1軒で考えるのなら話は早いです。
家を建て直す費用がそのまま保険の上限金額として出してもらえるように設定すれば良い話です。
しかしマンションのように大きな共同住宅の場合には1つ問題があります。
同じ建物の中でも、居住者の専有部分と、共同利用している共用部分とで、どちらがどれくらいの割合で費用がひつようなのか?はっきりしません。
なので、たとえば「建物全体の40%は共用部分とする」といったふうに、保険会社が共用部分の範囲を割合で定めているところがほとんどです。
建物全体の評価額が仮に1億円だった場合、共用部分の評価を全体の40%とするなら、共用部分の評価額は4,000万円となります。
差し引いた6,000万円は専有部分の評価額となりますが、こちらはマンションの管理組合ではなく、マンションの所有者が個人的に火災保険を契約します。
個々の火災保険の評価額がすべて積み重なって、全部で1億円になるというイメージです。
評価額が間違っていると大変なことに
火災保険の評価額や保険金額は契約時に設定するものですが、実際に火災などで保険金を請求する場合に保険会社に見られることもあります。
なぜ評価額と保険金額を見られるのかというと、保険金額の設定が高すぎてしまったり、低すぎてしまうと、保険金を受け取る際に問題が発生する場合があるからです。
例えば、評価額よりも高すぎる保険金額を設定するのがOKとなると、建物が全壊したときに必要以上のお金を受け取れることになってしまいます。
逆に評価額より低すぎる保険金額の設定では、そもそも建物の立て直しは出来ないですし、不当に少ない保険料で火災保険を掛けられる状態が出来てしまいます。
評価額に見合う保険金額の設定がされていなかったり、評価自体が間違っていると、保険会社から下りる保険金は削減されてしまう可能性があるので注意が必要です。
契約や更新時には、建物の情報(建築年月や延床面積など)が間違っていないか、というところは必ず確認してください。
マンション総合保険の付保割合の仕組み
付保割合は通常あまり使わないもの
一般的に、個人でかける火災保険の場合には、建物が全壊して1から立て直す費用を考えているため、評価額いっぱいを補償上限額に設定して契約します。
それに対してマンションは全壊の恐れが非常に低いです。
評価額をそのまま補償の上限額としてしまうと、保険料は高いのに、いつになっても満額の保険金は受け取れないので、契約者としては損した気分になってしまいます。
万一に備えるための保険なので、必ずしも損というわけではありませんが、現実問題、費用対効果をみると損になってしまいます。
ではどうしたら良いのか、というと「約定付保割合」というものを設定します。
約定付保割合とは、「評価額に対して補償上限額を何%までとする」という設定をするものです。
10%~90%を10%きざみに設定ができるので、幅広く選ぶことができます。
この10-90%の設定により、建物が全壊した場合に下りる保険金の上限額が左右されます。
1億円の評価額の建物であっても、約定付保割合が90%であれば9,000万円が上限、20%に設定していれば2,000万円が上限ということになります。
保険金額が下がってしまうのに、ちゃんと補償を受けられるのか?
ここで、「約定付保割合として何%を設定する」ということに対して、疑問が出てくる方もいると思います。
例えば、約定付保割合を30%で設定したときを考えてみましょう。
建物の評価が1億円だった場合、その30%は3,000万円です。
仮に、1,000万円の損害があったとして、保険金が30%支払われるということであると、保険から300万円が出て、700万円は自費ということになります。
1億円の損害が出た場合には、3,000万円の保険金が出る計算になりますが、それより低い額でも手出しのお金が必ず必要ということになります。
しかし、約定付保割合で設定するのは、あくまでも補償の上限額
です。
評価額1億円の30%である3,000万円以内の損害であれば、実際の損害額で補償されるということになります。
これは実損てん補方式といい、実際の損害額が補償されるため、上限額を超えて損害が発生しなければ自費が出ません。
実損てん補方式に対して比例てん補方式では、損害に対して決められた割合の保険金を支払う形となるので、保険金を請求しても必ず自費が存在します。
比例てん補方式で火災保険を提案してくるところは、なかなかないので参考程度にしていただければと思います。
約定付保割合の分だけ保険料も減るのか
約定付保割合が評価額の90%のときは、保険料も90%になるのでは、と考える方もいらっしゃると思います。
しかし実際には、保険料の減額率は評価額と同じ推移で変わるわけではありません。
もちろん評価額は低いほうが保険料も安くなるのですが、約定付保割合が下がるほど保険料の割引率が上がりにくくなります。
つまり、約定付保割合を下げすぎてしまうと、割高な保険料を払っているのに補償額は低いという状態が生まれてしまうのです。
評価額いっぱいに契約しても、保険金額をかなり低く設定しても、損をしている感じは残ります。
実際、どの付保割合にしておいたら良いか、というのはなんとも言いがたいものです。
保険料で高い安いと言っても、災害が起こってしまったときにしっかりと受け取れるのは、約定付保割合を付けずに評価額いっぱいで保険金額とした方に決っているからです。
ただし、付保割合を下げすぎてしまうと、今度は保険料として割高な上に、補償が十分もらえないケースが多くなります。
どんなに低くしても、保険金額の付保割合は60%を下回らないようにしたほうが良いです。
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まとめ
マンション総合保険の付保割合について、建物の評価や保険金額の話も合わせて解説しました。
保険という目に見えない・予測できない商品について、マンション管理組合で決議しひとつの内容に絞るのは案外難しいものと思います。
この記事を読んだ皆様に少しでもご参考になれば幸いです。