マンション総合保険を徹底検証! 積立型と掛捨型、どちらがいいの?
こんにちは。保険相談ラボ 編集部です。
マンション管理組合にとって、修繕積立金の運営は、非常に重要なことだと思います。
滞納されている方がいると、なかなか大変ですよね。
みなさんのマンションでは、毎月の修繕積立金をいくらに設定していますか?
ちなみに、国土交通省が平成30年に発表した最新の『マンション総合調査』によると、1戸当たりの修繕積立金の平均は、月額11,243円でした。
この修繕積立金を保険を使って用意しようというのが、積立型のマンション総合保険です。
マンション共用部分にかける火災保険であるマンション総合保険に、積立機能をもたせた保険です。
修繕積立金とマンション総合保険はセットにしたほうが良いのでしょうか?
もともと積立型のマンション総合保険に入っていて、更新時にも積立型のマンション総合保険を検討したい、とご相談を受けることもあります。
修繕積立金もマンション総合保険も、大きな費用ですので、合理的に運用していきたいですよね。
そこで今回は、積立型と掛捨型、どちらのマンション総合保険がいいのか比べてみたいと思います。
※今回は、補償内容にはほとんど触れません。
マンション総合保険とは? 共用部分の火災保険を徹底解説
マンション総合保険とは、マンション管理組合向けの火災保険の一種で、マンション共用部分に対する補償を目的としています。 保険会社によって名称は異なりますが、いず…
目次
積立型マンション総合保険には、メリットなし! 修繕積立金は別立てで
あっ、結論です。
積立型マンション総合保険には、メリットがありません!
ちなみに、『今は』という意味ですよ。
過去には、積立型のメリットが大きかった時代もありますが、現在や今後しばらくはメリットがありません。
次の更新契約の際には、積立型ではなく、掛捨型を選びましょう。
では、積立型がおすすめできない大きな理由を2つご紹介します。
積立型はここがダメ!
- 積立金(満期返戻金)が返ってこないことがある!
- 積立金は増えない!
最後まで読めば、理事会で「積立型にするか掛捨型にするか」もめたときに、ズバッと解決できちゃいます。
マンションには、分譲当時から住んでいる方、中古で購入した方、賃貸に出して所有者は遠方にいる方など、様々な立場や意見をお持ちの方がいらっしゃいます。
複雑な環境で意見をまとめるのは大変だと思いますが、管理組合の運営をスムーズに行う手助けになればと思っています。
積立型と掛捨型、内容の違いは?
マンション総合保険の積立型、掛捨型どちらが良いかを考える前に、保険の内容に違いはあるのでしょうか?
補償の内容に違いはありません。
どちらとも、マンション共用部分にかける火災保険であり、補償内容は同じものです。
マンション共用部分に損害が起きた場合には、どちらの保険でも同じように補償されますし、賠償責任補償などの特約も付けられますので、その点はご安心ください。
違うのは、積立型か掛捨型か、という点のみです。
積立型と掛捨型の違いについて、簡単に説明しておきましょう。
- 積立型は、お金が戻ってくることを前提に高い掛金を払います。
満期の際には、お金が戻ってきます。 - 掛捨型は、安い掛金で保険に加入できます。
満期になると保険も終わり、お金も戻ってきません。
なんとなく、積立型のほうが良さそうに聞こえますが、それは「お金が戻ってくる」からですよね?
その戻ってくるお金(満期返戻金)が、全く戻ってこなかったり、あんまり戻ってこなかったら、どうでしょう?
積立型のメリットがないですよね?
実際に、満期返戻金が戻ってこないことがあったり、マイナス金利のこの時代は、積立金が増えないんです。
だから、積立型のメリットがないんです。
どちらというと、デメリットでもあります。
積立金が返ってこないことがある
満期返戻金(積立金)が消えてしまうなんて!
そんなこと、信じられますか!?
本当に、満期返戻金が支払われない事例があるんです。
それは、どんな時かというと・・・、
建物が全損になったときには、保険が終了し満期返戻金が返ってこなくなります。
パンフレット等にも小さな字なのですが、「全損になった場合は、契約は損害発生時に終了し、満期返戻金はお支払いできません」と書いてあります。
全損とは、1回の事故で支払限度額(保険金額)を支払った場合のことを指します。
戸建ての住宅で言えば、全焼・全壊となったような場合です。
戸建てでも、全焼・全壊となるような事故は、そうそう起こらないので、満期返戻金(積立金)が払われないリスクはそんなに高くはありません。
ましてや、マンション共用部分が全焼・全壊になることは、なかなか考えられないので、リスクは相当低いと思います。
ただ、返ってこないリスクはあるんです。
以前は、満期返戻金は増えて戻ってきたので、積立型には大きなメリットがありました。
しかし、現在は満期金は増えないので、メリットがないのに返ってこないリクスだけがあるんです。
積立型って、ただのリスクだけじゃん。
わたしも、そう思います。
でも、日本人て、積立型が好きなんですよねぇ。
金利によって影響を受ける商品は、貯蓄性商品
マイナス金利が導入された2016年から現在に至るまで低金利が続いています。
住宅ローンなど借り入れであれば、金利が低くなって、返済額が減ります。
中には借り換えをされた方もいるのではないでしょうか?
一方、定期預金では、低金利で金利が0.001%だった場合、100万円を預けても1年間でわずか10円しか増えません。
税引後でいうと、たったの7円です。
では保険の場合、低金利はどんな影響を受けるのでしょうか?
貯蓄性のある金融商品では
金利が高い・・・お金が大きく増える
金利が低い・・・お金があまり増えない
ということになります。
金利10%のシミュレーション
1970年代では驚愕の金利10%超えの郵便局の定期貯金がありました。
例)1,000万円を金利10%で5年間預けると
14,864,848円=約1,500万円となります。5年で500万円増えました。
一方、保険においても、1985年から1993年のバブル期は特に予定利率が高く、生命保険の終身保険など貯蓄性商品は5.5%の予定利率で販売されていました。
この時代に加入した保険はとにかく利率が高く、当時加入した保険を契約し続けている方は、担当者から勧められても絶対に解約してはいけない、まさにお宝保険です。
「転換」も解約の一種なので、「切り替え」や「解約」「転換」という言葉が出ても、その場で決めずにファイナンシャル・プランナーなどに確認しましょう。
金利0.001%のシミュレーション
例)1,000万円を金利0.001%で5年間預けると
10,000,500円となります。5年で500円増えました。
500円しか増えなかったという言い方の方が正しいかも知れません。
ネット銀行の定期保険では、0.35%(2019年5月31日現在)という金利を出しているところもあり、約17万円増やすこともできます。
定期預金なら、やはりネット銀行の方が良さそうです。
積立型のマンション総合保険
20年前の積立型マンション総合保険
20年ほど前の平成11年のマンション管理組合向けの保険(マンション総合保険)では、5,950万円を一括で支払うと、10年後に6,000万円の満期金として戻ってくる商品がありました。
10年で50万円増えたという感じがしますが、預金ではなく保険なので、補償が付いています。
約470万円に相当する補償が付いた上で満期金として50万円増えているので、実質520万円増えたという計算になります。
この頃の積立保険は補償の保険料は実質0円もしくは、補償が付いて増えて返ってくるという状態でした。
10年前の積立型マンション総合保険
10年ほど前の平成21年あたりから保険会社によっては、保険の契約期間が最大10年から5年に変わってきます。
平成21年のマンション総合保険では、5,998万円を一括で支払うと、5年後に6,000の満期金として戻ってくるという商品でした。
5年で2万円増えただけではなく、約250万円に相当する補償付いているので、実質252万円増えたという計算になります。
20年前の平成11年よりはパフォーマンスが落ちますが、実質0円という状態なので、積立の方が断然お得となります。
現在の積立型マンション総合保険
現在の積立型のマンション総合保険では、6,490万円を一括で支払うと、5年後に6,000万円の満期金として戻ってきます。
0金利時代の予想通り、元本を割れてきました。保険会社が預かった保険料で全く運用できていない訳ではなく、約6万円ほど増えてはいます。
しかし補償するための保険料が496万円のため、増えた6万円を差し引いて490万円かかります。
満期金の6,000万円と490万円の合計6,490万円が支払保険料となります。
保険会社で多少の誤差はありますが、少なくとも補償保険料を吸収できる程の運用結果を出すことはできません。
つまり、掛捨分の490万円と積立分の6000万円を預けて、6000万円が返ってきただけです。
これでは、ただ預けた金額が戻ってくるだけなので、意味がないですね。
掛捨型の保険に入って、6000万円は銀行に預けておいても、ほとんど同じですね。
今後、積立タイプのマンション総合保険はどうなる?
2020年10月以降の積立マンション総合保険
今後は、積立タイプのマンション総合保険は販売停止となります。
具体的には2020年10月に販売停止を予定している保険会社が既にあり、他の保険会社も追随して、販売停止にしていくものと思われます。
運用成績が出ない現状で、積立型の保険に加入する意味もないので、当然といえば当然です。
まとめ
積立型のマンション総合保険だけではなく、生命保険などでも、予定利率が0.25%ならまだ良くて、元本割れとなる商品も多く、保険会社によっては、ドル建ての商品に変更したり、円建ての商品そのものの販売を停止している会社もあります。
今回解説したように、積立型のマンション総合保険は、契約者であるマンション管理組合にとって、全くメリットがない保険です。
同時に、保険会社にとってもほぼメリットがない保険なので、各社販売停止にしているのでしょう。
満期返戻金が支払われないことがあるというのは、大きなデメリットですが、結果として積立型の保険はなくなってしまうので、掛捨型のマンション総合保険に加入することになります。
今後は、積立型か掛捨型かで、迷ったり、もめたりすることはなくなると思います。
それでもまだ、管理組合の運営で大変なことは残っています。
特にマンション総合保険でお悩みの際は、保険相談ラボにご連絡ください。
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上記は、マンション管理組合が加入する火災保険、マンション総合保険を検討する際のポイントをまとめたページです。
積立か掛捨か以外にも考えなければならないことが多いと思います。
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