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火災保険は本当に必要?物件別の必要な理由と知っておくべき補償内容

火災保険は本当に必要?物件別の必要な理由と知っておくべき補償内容

火災保険について、「自分には必要ない」と考えている方も多いかもしれません。

特にマンションにお住まいの方、オール電化住宅の方、賃貸物件に入居中の方、空き家をお持ちの方の中には、火災保険は必要ないと考えている意見を聞くことがあります。

賃貸に住んでいるんで、大家さんが火災保険をかけているから、自分で加入する必要がないって思ってます。
自分では加入しなくても大丈夫だろうって思っています。

マンションに住んでいるから、火災のリスクは低いと思っているんです。周りの住民や建物自体の安全対策がしっかりしているから、あんまり心配していないんですよね。

うちは、オール電化なんですよ。
だから、料理中の火事の心配もないし、火災が発生するリスクはほとんどないって思ってます。
電気だけなら安全だろうって考えてます。

しかし、内閣府 防災情報のページによると、火災保険の加入率は82%となっており、多くの人が火災保険の必要性を感じ、加入しています。

補償内容加入件数
火災補償あり2,880万件(82%)
水災補償あり2,307万件(66%)
地震補償あり1,732万件(49%)

自分や家族が気をつけていても、放火や隣家からのもらい火電気機器や配線機器からの火災事故に巻き込まれる可能性があります。また、日本では風災、水災や地震などの天災リスクも心配です。

火災保険は、戸建て分譲マンションの所有者はもちろん、賃貸物件入居者空き家所有者どんな人にも必要な保険と言えます。

火災保険に加入する際には、物件や立地のリスクに合わせて、適切な補償内容にすることが大切です。
今回は、火災保険の必要性や合理的な選び方について解説します。

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目次
  1. 火災保険は本当に必要か?
    1. 火災の出火原因
    2. 隣家からの出火と失火責任法
    3. 火災保険では自然災害も対象
  2. 火災保険の補償内容
    1. 火災や落雷の補償
    2. 自然災害の補償
    3. 盗難や破損・汚損の補償範囲
    4. マンションには給排水設備の事故は必須
    5. 地震保険
  3. 火災保険の必要性と選び方
    1. 戸建て住宅の火災保険
    2. マンションの火災保険
    3. 大家さん(投資用物件)の火災保険
    4. 賃貸物件(借主)の火災保険
    5. オール電化住宅の火災保険
    6. 空き家の火災保険
  4. 合理的な火災保険の選び方
    1. ハザードマップを確認する
    2. 長期契約 一括払いにする
    3. 複数の保険代理店で見積もりを取る
    4. 建物の評価額、保険金額を正しく設定する
    5. 構造級別や割引を正しく適用できているか確認する
  5. 火災保険は見直しが必要
    1. 火災保険 契約期間中の見直し
    2. 2024年10月の火災保険改定に注意
  6. 火災保険に関する よくある質問
    1. 火災保険に加入するのに必要な書類はありますか?
    2. 更新する際に保険料が値上げと言われました。どうしたらよいでしょうか?
    3. 賃貸物件で不動産会社から火災保険加入をすすめられましたが入らないとどうなるのでしょうか?
    4. 親が亡くなった後の空き家を相続した場合、火災保険の加入は必要ですか?
  7. 火災保険は本当に必要?必要な理由と知っておくべき補償内容とは まとめ

火災保険は本当に必要か?

火災保険は、原則どのような物件にでも必要な保険です。
火災の出火原因は放火やもらい火などさまざまな原因があり、自分だけが気をつけていれば大丈夫というものではありません。

さらに、近年では風災や水災など火災以外の自然災害リスクも増しています。
火災の主な出火原因隣家から出火した場合の責任火災以外の自然災害リスクなどから、火災保険の必要性について解説します。

火災の出火原因

令和5年版 総務省消防庁 消防白書火災では、主な出火原因が公表されています。

主な出火原因別の出火件数
主な出火原因別の出火件数

令和4年中の出火 36,314件の中で、最も多い第1位は「たばこ」、第2位の「たき火」、第3位「こんろ」でした。
また「放火」「放火の疑い」を合計すると全体の約10.1%を占めており、いくら自分や家族が気をつけていても、火災に巻き込まれてしまうリスクがあります。

放火は疑いを合わせると、全体の10.1%にもなります。
火災の出火原因ランキング トップ10

1位・・・たばこ(8.8%)
2位・・・たき火(8.5%)
3位・・・こんろ(7.6%)
4位・・・放火(6.1%)
5位・・・電気機器(5.4%)
6位・・・火入れ(5.2%)
7位・・・電灯電話等の配線(4.1%)
8位・・・配線器具(4.0%)
9位・・・放火の疑い(4.0%)
10位・・・ストーブ(3.0%)

さらに「電気機器」「電灯電話等の配線」「配線器具」を合わせた割合は13.5%もあり、電気関連の原因とした火災も決して低くないことが分かります。オール電化の家だから火災はないと言い切れません。

非純正バッテリーによる火災

最近の火災原因の中で、非純正バッテリーによる火災が増加しています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構によると、2017年から2021年の5年間で非純正バッテリーによる事故が134件発生しています。
リチウムイオン電池は携帯充電器、スマートフォン、タブレット、電子たばこ、ノートパソコン、コードレス掃除機、電動ドライバー、電動自転車、携帯扇風機などに使用されています。
リチウムイオン電池は高容量、高出力、軽量といった特徴がありますが、非純正品(互換性バッテリー)の使用が火災の原因となることが多いです。

非純正バッテリーの使用による火災事例

スマートフォンの非純正バッテリーを使用していた際、充電中にバッテリーが過熱し発火しました。
火災はスマートフォンから始まり、周囲の家具にも燃え広がりました。

電動自転車に取り付けられていた非純正リチウムイオンバッテリーが爆発し、火災が発生しました。
この火災により、自転車置き場が燃え、近隣の建物にも被害が及びました。

非純正バッテリーを使用した電子たばこが使用中に爆発し、火災が発生しました。
爆発の衝撃で使用者が軽度の火傷を負い、周囲の家具も一部焼失しました。

非純正バッテリーには、純正バッテリーよりも多くのリスクがあります。
リチウムイオンバッテリーは多くの製品で使用されており、内部に可燃性ガスを含んでいるため、事故が起きると火災など大きな被害につながりやすいです。

非純正バッテリーの方が価格が割安ですが、火災リスクを考えると純正バッテリーの使用をオススメします。

バッテリーによる火災前の特徴

  • バッテリーの減りが速くなり、充電中に以前と比較して熱くなっていた。
  • 充電池が膨張し変形していた。
  • 充電しても、満充電にならない。
  • カバンなどにスマートフォンなどを入れ、強い衝撃を与えてしまった。
  • 充電部の差込み部分の接触は悪かったが、そのまま使用していた。
  • 専用の充電器で充電しない。
  • 水没したが、時間が経ちまた使用できるようになったので使用していた。

隣家からの出火と失火責任法

隣家からの出火で自宅が燃えてしまうリスクも考えなくてはいけません。
日本には失火責任法という法律があり、自宅がもらい火や延焼で燃えてしまっても、軽過失による失火であれば、火元の原因となった人に損害賠償請求は発生しません

失火責任法 制定の理由

明治時代、日本の都市部は急速に発展し、建物が密集するようになりました。
このため、一度火災が発生すると隣接する建物に延焼し、大規模な被害を引き起こす可能性が高まりました。この状況下で、失火者に全ての賠償責任を負わせると、個人の経済的な破綻を招きかねないことから明治32年に制定されました。


失火責任法により、失火によって他の人の家が延焼してしまっても、失火者は「重大な過失」がない限り、損害賠償責任を負いません。「重大な過失」とは、故意に近いような過失という意味です。

出火状況法律上の責任と火災保険
隣家から出火、自宅に燃え移ってきた場合隣家は修理費用などを支払う法律上の責任がないため、自分の火災保険を使用して自宅を修理する必要があります。
自宅から出火、隣家に燃え移してしまった場合自宅は自分の火災保険を使用します。お隣の家には修理費用を支払う法律上の責任がないため、隣家ご自身の火災保険を使用してもらう必要があります。

隣家からの延焼で自宅が燃えてしまった場合でも、失火責任法があるため、隣家の人に損害賠償請求できず、自分で修繕するしかありません

「自分の家は自分で守る!」という観点でも火災保険は必要となります。

火災保険では自然災害も対象

火災保険では、風災や水災などの自然災害による損害も補償されます。

2018年の統計では、火災保険の支払い保険金額は、「火災(落雷・破裂・爆発を含む)」428億円に対し、「自然災害(風・ひょう・雪災及び水災)」は7,079億円です。
日本では火災以外の自然災害リスクが非常に高いことが分かります。

引用元:損害保険料率算出機構『火災保険・地震保険の概況2023年度版(2024年4月発行)』

自然災害の支払い保険金額は2020~2021年にかけては減少しましたが、依然として火災だけの支払い保険金の倍以上の金額で推移しています。
火災以外の自然災害で、建物や家財が被害を受けた場合のリスクは、火災保険で補償することができます。

ただし、自然災害の中でも地震による被害は火災保険では補償されず、別途地震保険に加入する必要があるので注意してください。

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火災保険の補償内容

火災保険の必要性を判断するために、まずは保険がどんな補償内容になっているかを知っておきましょう。

火災保険の補償内容は、保険会社や保険商品によって異なりますが、おおよそ以下のようなものがあります。

火災保険の主な補償内容

  • 火災や落雷の補償
  • 自然災害の補償
  • 盗難や破損・汚損の補償
  • 地震保険の補償

具体的にどんな事故や損害が補償されるのか、順番に解説していきます。

火災や落雷の補償

マンション総合保険 - 火災

火災保険の場合、「火災」の中には、「落雷」と「破裂・爆発」のリスクも補償されます。

・火災
・落雷
・破裂
・爆発

自然災害の補償

風災・ひょう災・雪災

多くの火災保険では、以下のような自然災害も補償されます。

・風災
・ひょう災
・雪災
・水災


近年の異常気象により、日本全国で台風や竜巻の被害などが拡大しています。
2018~2021年度に台風や水災などの自然災害で大きな被害が出た地域は、以下の通りです。

年度風災・ひょう災・水災雪災
2018平成30年7月豪雨(中国・四国・九州)
台風21号(中部・近畿)
台風24号(関東・中部)
北海道・東北
2019台風15号(関東)
台風19号(東北・関東・甲信)
2020令和2年7月豪雨(九州)
台風10号(九州)
北海道・東北・北陸
2021令和3年8月豪雨(九州)
2023年度 損害保険料率算出機構 火災保険・地震保険の概況

日本ではどの地域に住んでいても、台風や水災などの自然災害のリスクに備える必要があります。

盗難や破損・汚損の補償範囲

火災保険の中には、以下のような火災や自然災害といった大規模な損害だけでなく、日常生活での損害を補償するものもあります。

・盗難
・物の飛来・落下・衝突
・給排水設備の事故等による水濡れ
・騒じょう等による暴行・破壊
・破損、汚損

盗難の場合、建物を保険の目的とした火災保険に加入しているだけでは、盗難で壊された場所しか補償されません。
保険の目的に建物だけでなく家財を追加すれば、空き巣被害などで家の中の物が盗難された場合の損害も補償されるので安心です。

例)泥棒が窓ガラスを割って侵入し、家財が盗まれた場合

補償(建物・家財)補償されるもの
建物のみ窓ガラスの補修費用を補償
建物と家財窓ガラスの補修費用と盗難された家財についても補償
家財のみ盗難された家財を補償

「物の飛来・落下・衝突」とは、例えば他人の車が事故で自宅にぶつけてしまった場合などの損害を言います。
その他、騒乱や暴行被害などで建物が損害を受けた場合も、火災保険の補償の対象です。
給排水設備の事故などによる水濡れ損害を補償するものもあり、火災保険は、火災や自然災害以外にも、さまざまなリスクに対応しています

マンションには給排水設備の事故は必須

マンションでは給排水管からの漏水事故が多いことが特徴で、被害が広範囲に及ぶこともあります。

上階専有部分からの漏水
上階の専有部分の給排水管から漏水した場合、下階の天井や壁、床が水濡れの被害を受けることがあります。

共用部からの漏水
マンションの共用部分の給排水管が破裂した場合、複数の住戸に水濡れ被害が広がる可能性があります。

マンション上階専有部分からの漏水であれば、上階の方の個人賠償責任保険を使用、共用部分からの漏水であればマンション管理組合の建物管理賠償責任保険(施設賠償責任保険)などで補償することが可能です。

しかし、そもそも上階の方やマンション管理組合が保険に加入していない、補償が足りないなどのケースも考えられるため、自分の家は自分で守ると考えた方が安心です。

地震保険

火災保険では、地震によって自宅が火事になったり倒壊したりした場合のリスクを補償できません

地震のリスクを補償するためには、火災保険にプラスして地震保険に加入する必要があります。
地震保険単独では加入できませんので、必ず火災保険とセットで加入しましょう。

地震保険で補償されるリスクは以下のようなものです。

・地震による火災
・地震による倒壊
・津波
・噴火

地震保険の契約は、建物と家財のそれぞれで契約し、契約金額は、火災保険の契約金額の30%~50%の範囲内で設定することになっています。
高限度額は建物が5,000万円、家財は1,000万円です。

例)火災保険金額 2,000万円の場合

地震保険は、600万円~1,000万円で設定することができます。

地震による被害は火災保険では補償されない

・地震が原因の倒壊
地震が原因で自宅が倒壊した場合は火災保険では補償対象となりません。
また、地震が原因で電柱が倒れ、自宅が被害にあった場合も地震保険でのみ補償対象となります。
火災保険は対象とならず、天災のため電力会社が賠償することもありません。

・地震による津波
地震が原因で津波が発生し、その津波により建物や家財が損害を受けた場合も、火災保険の水災では補償対象となりません。

・地震による地盤沈下や液状化現象
地震の揺れにより地盤が沈下したり、液状化現象が発生して建物が傾いたり沈んだりする被害も、火災保険では補償対象とはなりません。

地震保険 支払われる保険金

損害の状況支払われる保険金
全損<建物の場合>
・主要構造部の損害割合 50%以上
・焼失、流失した部分の床面積が建物の延床面積の 70%以上

<家財の場合>
家財の時価額の 80%以上
地震保険金額の100%
(時価額が限度)
大半損<建物の場合>
・主要構造部の損害割合 40%以上50%未満
・焼失、流失した部分の床面積が建物の延床面積の 50%以上70%未満

<家財の場合>
家財の時価額の 60%以上80%未満
地震保険金額の60%
(時価額の60%が限度)
小半損<建物の場合>
・主要構造部の損害割合 20%以上40%未満
・焼失、流失した部分の床面積が建物の延床面積の 20%以上50%未満

<家財の場合>
家財の時価額の 30%以上60%未満
地震保険金額の30%
(時価額の30%が限度)
一部損<建物の場合>
・主要構造部の損害割合 3%以上20%未満
・全損、半損、一部損に至らない建物が床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水

<家財の場合>
家財の時価額の 10%以上30%未満
地震保険金額の5%
(時価額の5%が限度)

火災保険は、補償内容や保険料などが保険会社によって異なります。しかし、地震保険は政府が共同で運営する公共性の高い保険であり、どこの保険会社で加入しても保険料や補償内容は同じです。

地震火災費用とは

地震火災費用保険とは、火災保険のオプションで、地震を原因とする火事で建物が半焼以上の損害を被った時などに支払われる費用保険金です。

地震火災費用で支払われる保険金は、火災保険の保険金額の5%程度としているケースが多く、あくまで見舞金程度の位置づけとなっています。地震火災費用保険は地震保険とは別物ですので注意しましょう。

火災保険の必要性と選び方

火災保険で必要な補償や選び方は、建物の種類や所有形態などによって異なります。
ここでは、以下の6つのタイプに分けて火災保険の必要性と選び方について解説します。

  • 戸建て住宅
  • マンション
  • 大家さん(投資用物件など貸主)
  • 賃貸物件(借主)
  • オール電化住宅
  • 空き家

戸建て住宅の火災保険

戸建て住宅を所有している人は、以下の点に注意して、火災保険を付保しましょう。

  • ハザードマップを確認し、水災や地震リスクに備える
  • 類焼損害特約や個人賠償責任補償特約で、隣家への損害に備える

ハザードマップを確認し、水災や地震リスクに備える

保険会社によっては火災保険の補償範囲の中から、特定の補償を外せる場合があります。
代表的な例が水災です。補償範囲のうち、水災を補償対象外(水災不担保)とすることで保険料を安くできます。

ただしその場合、保険の対象とする建物が水災リスクの高い場所にあるのかどうか、事前にハザードマップをしっかり確認しておきましょう。

ハザードマップは、地方自治体でチラシやリーフレットなどを配布しているほか、国土交通省 ハザードマップポータルサイトでも確認できます。

戸建ての場合は、浸水被害想定が0.5m未満のエリアであっても、床上浸水すると基礎や柱、配管設備などに被害が出るリスクがあります。

水害リスクについては、ハザードマップの他、損害保険料率算出機構の水災等地検索システムや不動産会社、近隣住人などからの情報を元に、慎重に判断しましょう。

類焼損害補償特約や個人賠償責任補償特約で、隣家への損害に備える

類焼損害補償特約と個人賠償責任保険は、火災が発生した際に隣家など第三者に与える損害に備えるための保険です。
失火責任法により、法律上の損害賠償責任が発生しない失火は、類焼損害補償特約で補償されます。軽過失でない場合など法律上の損害賠償責任が発生する場合には、個人賠償責任補償特約で補償されます。

類焼損害補償特約

類焼損害特約は、自宅の火災が原因で隣家や近隣の建物に被害を及ぼした場合、類焼先の火災保険で十分に復旧できない場合、その損害を補償する特約です。

失火責任法により、軽過失での失火では法律上の損害賠償責任は発生しませんが、実際には近隣との関係や道義的な責任から賠償を求められることがあります。類焼損害補償特約では、軽過失による失火でも隣家の補償が可能となります。

個人賠償責任補償特約

個人賠償責任補償特約は、日常生活において他人に損害を与えた場合にその損害賠償責任を補償する保険です。火災による被害だけでなく、自転車事故や物を壊してしまった場合など、幅広い場面での賠償責任に対応します。

重過失の場合には失火責任法で守られないため、法律上の損害賠償責任を負うことになります。
その際には個人賠償責任補償特約で補償することができます。

マンションの火災保険

分譲マンションを所有している人は、以下のようなポイントで火災保険を選びましょう。

  • 上階や共用部分の給排水管からの漏水による水濡れ損害に備える
  • 階下などへの漏水事故のため、個人賠償責任補償特約で備える
  • 高層階の場合には、水災補償を外す

上階や共用部分の給排水管からの漏水による水濡れ損害に備える

マンションでは、上階や共用部分の給排水管からの漏水による水濡れ損害が発生することがあります。
このような場合、自分の住戸が水浸しになり、天井や壁紙、家具などに被害が及ぶことがあります。
火災保険で水濡れ損害補償を付帯することで、これらの損害に対する補償を受けることができます。

漏水原因が、共用部分の場合にはマンション管理組合に、上階の専有部分からであれば、上階の居住者に賠償を求めることも可能ですが、保険を契約していない、補償額が足りないこともあります。
そのような場合でも、自分の火災保険で補償することが可能です。

漏水事故はマンションの老朽化、特に築15年程度から発生頻度が増加するため、ご自身であらかじめ備えておくことが重要です。

階下などへの漏水事故のため、個人賠償責任補償特約で備える

自分の住戸からの漏水が原因で、階下の住戸に損害を与えることも考えられます。
例えば、洗濯機のホースが外れて水が漏れたり、浴室の排水が詰まって階下に浸水したりする場合です。
このような場合は、個人賠償責任補償特約で補償することが可能です。

個人賠償責任補償特約は、日常生活における他人への損害賠償責任を補償する保険で、漏水事故による損害賠償も補償されます。また示談交渉サービスが付いていることが多く、被害者との交渉を保険会社に任せることができます。

高層階の場合には、水災補償を外す

マンション高層階では、水災が発生する可能性は極めて低く、水災補償を外しても問題ありません

漏水事故を補償するためには水災補償を契約しなければならないと勘違いしているケースもありますが、水災補償は台風、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れを補償するものです。

事故例補償
台風の影響で近くの川が氾濫し、床上浸水が発生して壁の張り替えが必要になった。水災
集中豪雨で排水路がオーバーフロー、内水氾濫し、自宅が床上浸水した。水災
豪雨による土砂崩れで家が押し流された。水災
天井裏の水道管が破裂し、天井壁紙および家財が水浸しになった。水濡れ事故
共用部分の給水管の破損により室内が水浸しとなり、壁紙が損傷した。水濡れ事故
水災と水濡れ損害の例

タワーマンション高層階などでは、水災補償は外すことを忘れないようにしましょう。

大家さん(投資用物件)の火災保険

大家さんで投資用物件を所有している人が、火災保険で気をつけるべきポイントは以下の通りです。

  • 給排水管からの漏水などによる居住者への損害に備える
  • 家賃収入の補償を、家賃補償や家主補償で備える

給排水管からの漏水による居住者への損害に備える

投資物件の給排水管からの漏水が発生すると、居住者の家財などに被害を与えることがあります。
またアパートの階段や手すりが壊れていたために、入居者がケガをしてしまった場合など、所有物件の管理不備によって損害賠償責任を負うリスクがあります。

このような投資物件による損害賠償責任に対して、建物管理賠償責任補償特約(施設賠償責任補償特約)で補償することができます。

家賃収入がある場合など、事業で物件を所有している場合には、個人賠償責任補償特約ではなく、建物管理賠償責任補償特約(施設賠償責任補償特約)を契約する必要があるので、間違えないように注意してください。

家賃収入の補償を、家賃補償や家主補償で備える

投資用物件を所有する大家さんは、給排水管からの漏水などに対する居住者への補償と、家賃収入の途絶えてしまうことに対して家賃補償特約や家主補償特約で備えることが大切です。

家賃補償特約

火災や自然災害などの事故により投資用物件が損害を受けた場合、居住者が退去するため家賃収入がなくなってしまいます。家賃補償特約では、復旧期間中の家賃補償として保険金が支払われます。

家主補償特約

投資用物件の居住者が孤独死、自殺、犯罪死などの事故が発生した場合に負担する費用を補償します。
この特約は、主に空室期間中の家賃損失、値引き期間中の家賃損失、原状回復費用、および遺品整理等の費用を補償するものです。

賃貸物件(借主)の火災保険

賃貸物件の人は借家人賠償責任補償特約と個人賠償責任補償特約が必須となります。

  • 借家人賠償責任保険で、大家さんへの賠償に備える
  • 隣家への損害に対して個人賠償責任補償特約で備える

借家人賠償責任保険で、大家さんへの賠償に備える

賃貸物件の借主は、大家さんの建物に損害を与えた場合、大家さんに弁償することになります。
これは火災が発生した場合も同様となります。

類焼の場合には失火責任法が適用され、法律上の損害賠償責任は発生しません。
一方、大家さんとは賃貸借契約上、原状回復の義務があるため、失火責任法ではその損害賠償責任を免れることはできず、修理費用を弁償する必要があります。

個人賠償責任補償特約で、隣家への損害に備える

戸建て住宅でもご紹介した、類焼損害補償特約と個人賠償責任補償特約は、賃貸物件の借主にも必要となります。
漏水事故や軽過失によるもの以外で火災事故が発生した場合には、法律上の損害賠償責任が発生します。

個人賠償責任補償特約で日常生活中の賠償事故を補償することができます。

賃貸物件の保険の場合、個人賠償責任補償特約は、家財の保険に特約として付帯することが多いため、ご自身の家財の保険も万が一に備えてご用意しましょう。

オール電化住宅の火災保険

  • 建物電気的機械的事故で故障に備える
  • エコキュートやエネファーム、蓄電池などの水災損害に対して備える

建物電気的機械的事故で故障に備える

オール電化住宅では、電気設備や機械設備が多く、一般的な火災保険では対象とならない、故障損害を補償することができます。電気設備や機械設備の保証期間が終了すると、故障損害については、自己負担となります。

建物電気的機械的事故の対象となる設備

空調設備、自動温度調節装置(サーモスタット)、床暖房、エアコン、エアコン室外機、換気扇、浴室乾燥機、トイレ(温水洗浄便座)
食器洗浄機、オーブンレンジ(ビルトインタイプ)、IHクッキングヒーター(ビルトインタイプ)、ディズポーザー、換気設備(レンジフード)、給湯器
駐車場機械設備、電動シャッター、蓄電池、エネファーム、エコキュート、アンテナ設備、太陽光発電設備
など

機械設備を幅広く補償できるため、オール電化住宅には特にオススメの補償となります。
経年劣化は補償の対象外となりますので、ご注意ください。

エコキュートやエネファーム、蓄電池などの水災損害に対して備える

火災保険では、水災が発生した場合に、通常は特定の浸水条件を満たさない限り補償が行われません。
しかし、特定機械設備水災補償特約では、敷地内の機械設備が浸水条件を満たさない水災によって損害を受けた場合であっても、その損害を補償します。

浸水条件特定機械設備水災補償特約水災
床上浸水
地盤面より45cmを超える浸水
再取得価額の30%以上の損害
上記に該当しない床下浸水など×

特定機械設備水災補償特約の対象となる設備

建物に付加したもしくは敷地内の土地に固着、固定された、空調・冷暖房設備、充電・発電・蓄電設備、給湯設備、昇降設備、およびこれらに付属する配線・配管・ダクト設備をいいます。

エネファーム・蓄電池・エコキュート・ガス給湯器・エアコン室外機・太陽光パネル・床暖房・電動シャッター・駐車場設備など

空き家の火災保険

空き家の場合、そもそも火災保険を契約しないという方も多いため、まずは火災保険を契約することが重要となります。

  • 火災保険をかける

実は空き家は人が住んでいないことを理由とする火災リスクが高いというのが実情です。

空き家は

・放火犯に狙われやすい
・荒れ放題の空き家はタバコのポイ捨てによる火災が発生することも
・空き家の放置したことによるガス漏れや設備不良による火災も
・不法侵入により破壊されることも

空き家は当然、人が住んでいないため、火災が発生した際にすぐに気付くことができず、大きな被害になってしまうことがあります。空き家の火災保険についてはこちらで詳しく解説していますので、参考にしてください。

空き家の火災保険は居住用の火災保険と保険料や補償内容が異なる場合があるため、保険代理店や保険会社に十分内容を確認したうえでご検討ください

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合理的な火災保険の選び方

火災保険が必要だと分かっていても、長く支払う保険料はできるだけ抑えたいものです。
保険料を抑えながら必要な補償を受けられるようにするために、火災保険を合理的に選ぶようにしましょう。

合理的に火災保険を選ぶためのポイントを3つご紹介します。

・ハザードマップを確認する
・長期契約 一括払いにする
・複数の保険代理店で見積もりを取る
・建物の評価額、保険金額を正しく設定する
・構造級別や割引を正しく適用できているか確認する

具体的にどのような点に気をつけていけばよいか、順番に解説していきます。

ハザードマップを確認する

ハザードマップとは、災害リスクのある地域や場所を示した地図のことです。
国土交通省や自治体などで確認することができ、水災リスク、土砂災害、津波、地震リスクなどが示されています。

ハザードマップでお住まいの地域は、水災リスクがあるのか、地震リスクがあるのかなどを参考にしながら、補償を決定するようにしましょう

長期契約 一括払いにする

火災保険は最長5年契約が可能です。
過去は35年や10年なども可能でした、2024年現在は最長5年契約となっています。

1年契約×5年よりも5年契約の方が、5年累計保険料は割安となります。
また5年契約の保険料支払方法には、一括払(一時払)と年払がありますが、一時払の方が割安となります。

現預金の余裕がある場合には、5年一括払を検討しましょう。

複数の保険代理店で見積もりを取る

火災保険に加入する際には、複数の保険代理店で見積もりを取るようにしましょう。
保険代理店によっては、特定の保険会社や保険商品しか取り扱っていない場合があります。

火災保険は保険会社によって補償内容や保険料・サービスなどが異なります。
複数の保険代理店で見積もりを取り、必要な補償や適用できる割引などを比較検討することが大切です。

建物の評価額、保険金額を正しく設定する

建物の評価額は、同等の建物を新築するために必要な金額(再調達価額)で算出します。
保険金額は再調達価額と同額に設定するのが一般的です。これにより、全損時に建物を再建できる補償が得られます。

保険金額が評価額を超えている状態は、超過保険とよばれ、全損の場合でも評価額以上に保険金が支払われることはありません。
一方、保険金額が評価額より少ない状態、一部保険とよばれ、損害額の一部しか補償されないことがあります。

基本的に保険代理店の担当者が設定することになりますが、超過保険や一部保険にならないよう適正な評価、保険金額になっているか担当者に確認しましょう。

構造級別や割引を正しく適用できているか確認する

建物の構造級別(木造、鉄骨造など)を正確に確認することが重要です。
特に省令準耐火建築物に該当するかどうかの判断は慎重に行いましょう。
省令準耐火建築物の場合、木造であっても、鉄骨造と同じ保険料になるので、大幅に保険料が変わってきます。

また地震保険では、住宅性能評価書の耐震基準によって、耐震性能割引を適用することができます。
住宅性能評価書は任意で有料にて発行するものなので、必ずしも書類があるわけではありませんが、発行している方は耐震性能をチェックしてください。

耐震基準割引率
耐震等級350%
耐震等級230%
耐震等級110%

火災保険は見直しが必要

火災保険は定期的に見直しが必要です。

ずっと同じ家に住んでいるのだから火災保険も同じ条件で良いでのは、と考えている人もいるかもしれません。
しかし、住んでいる場所が変わらなくても定期的に火災保険は見直しすることをオススメします。

ハザードマップ上の水災リスクや地震リスクが増大した、家族が増えたことで家財が増える、子供が独立して家財が減る、建築費用が高騰するなど、状況や環境の変化によって必要な補償額を都度見直しすることが大切です。

火災保険 契約期間中の見直し

火災保険の見直しをするタイミングとしては、更新時以外に、保険契約期間中でも変更手続きによる見直しは可能です。補償の条件を増減したり、保険金額を増減することが可能です。

変更内容によっては、一度解約して同日付けで再加入となったり、保険料で損したりする可能性もありますから、保険代理店によく確認してから変更手続きを行いましょう。

2024年10月の火災保険改定に注意

2024年10月から火災保険が改定され、火災保険料が値上げが実施されます。
損害保険料率算出機構によると、火災保険の参考純率は全国平均で13.0%の引き上げとなります。

火災保険契約の満期が2024年10月以降になる場合は、以前の保険料から大幅に値上げとなる可能性が高いので注意してください。

火災保険は毎年のように値上げが続いています。
直近の火災保険の保険料改定の実施状況

・2017年 1月 地震保険料 改定
・2019年 1月 地震保険料 改定
・2019年10月 火災保険料 改定
・2021年 1月 火災保険料 改定
・2021年 1月 地震保険料 改定
・2022年10月 火災保険料 改定
・2022年10月 地震保険料 改定
・2024年10月 火災保険料 改定予定

従来は火災保険の水災料率は全国一律でしたが、2024年10月の改定では、水災料率を5区分に分け、特に河川に近い地域では水災保険料が割高となります。

火災保険に関する よくある質問

火災保険に加入するのに必要な書類はありますか?

火災保険の加入時に必要な書類は、保険会社によって異なりますが、例えば以下のようなものがあります。
詳しくは加入保険代理店に確認しましょう。

  • 建物登記簿謄本
  • 建築確認申請書
  • 住宅性能評価書

更新する際に保険料が値上げと言われました。どうしたらよいでしょうか?

火災保険は毎年のように値上げが続いていて、更新すると保険料が値上げになることは非常に多いのが実情です。
しかし保険会社によって、値上げ幅が異なるため、より割安な保険会社を選択することが大切です。
火災保険に詳しい、複数の保険会社を取扱う保険代理店に相談することをオススメします。

また、2024年10月に火災保険の改定が実施されるため、時間に余裕をもって検討しましょう。

賃貸物件で不動産会社から火災保険加入をすすめられましたが入らないとどうなるのでしょうか?

賃貸物件に入居している場合、不動産会社から火災保険加入をすすめられるケースがあります。

賃貸入居者が失火や水漏れなどで建物に被害が生じた場合、入居者が修理費用などを支払うほどの資金がないケースもあります。
このため、賃貸入居の条件として、借家人賠償責任補償特約を含む火災保険の加入を義務づけている大家さんもいるのです。

親が亡くなった後の空き家を相続した場合、火災保険の加入は必要ですか?

祖父母や親が亡くなったり、施設に入居したりして、空き家の管理を任された際には、火災保険の加入有無について確認しておきましょう。

居住中の家や家財を目的とする火災保険に加入していた場合は、一旦解約して、空き家を保険の目的とする新しい火災保険に加入するようにしてください。

空き家が火災に遭い、建物の修理や建て直しは必要ない場合であっても、取り壊し費用や近隣への見舞金などの費用が発生する可能性があります。

空き家の火災保険は、住むための火災保険と異なるため、空き家用の保険について、保険会社や保険代理店によく確認してから加入しましょう。

火災保険は本当に必要?必要な理由と知っておくべき補償内容とは まとめ

火災保険の必要性や補償内容、合理的な火災保険の選び方などについて解説しました。

特にマンションやオール電化住宅の住人、賃貸物件入居者、空き家所有者は火災リスクが低いと思いがちですが、実際には様々なリスクが存在します。

また近年では、激甚化する災害も顕著となっていて、風災や水災、地震などの自然災害リスクも無視できません。

火災保険の必要性を理解し、適切な補償内容を選ぶためには、専門の保険代理店に相談することが最も確実です。
弊社では、FPの資格を取得した経験豊富なスタッフが、火災保険について補償内容の説明から最適な保険プランの提案まで丁寧に対応いたしますので、ぜひご利用ください。

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目次
  1. 火災保険は本当に必要か?
    1. 火災の出火原因
    2. 隣家からの出火と失火責任法
    3. 火災保険では自然災害も対象
  2. 火災保険の補償内容
    1. 火災や落雷の補償
    2. 自然災害の補償
    3. 盗難や破損・汚損の補償範囲
    4. マンションには給排水設備の事故は必須
    5. 地震保険
  3. 火災保険の必要性と選び方
    1. 戸建て住宅の火災保険
    2. マンションの火災保険
    3. 大家さん(投資用物件)の火災保険
    4. 賃貸物件(借主)の火災保険
    5. オール電化住宅の火災保険
    6. 空き家の火災保険
  4. 合理的な火災保険の選び方
    1. ハザードマップを確認する
    2. 長期契約 一括払いにする
    3. 複数の保険代理店で見積もりを取る
    4. 建物の評価額、保険金額を正しく設定する
    5. 構造級別や割引を正しく適用できているか確認する
  5. 火災保険は見直しが必要
    1. 火災保険 契約期間中の見直し
    2. 2024年10月の火災保険改定に注意
  6. 火災保険に関する よくある質問
    1. 火災保険に加入するのに必要な書類はありますか?
    2. 更新する際に保険料が値上げと言われました。どうしたらよいでしょうか?
    3. 賃貸物件で不動産会社から火災保険加入をすすめられましたが入らないとどうなるのでしょうか?
    4. 親が亡くなった後の空き家を相続した場合、火災保険の加入は必要ですか?
  7. 火災保険は本当に必要?必要な理由と知っておくべき補償内容とは まとめ