マンション管理組合向けの火災保険

マンション総合保険の風災補償とは?台風・ひょう・雪の対象と支払われないケース

マンション総合保険の風災補償とは?台風・ひょう・雪の対象と支払われないケース

監修横田 正則株式会社キューブコンサルティング 代表取締役/損害保険トータルプランナー・AFP

この記事は2026年10月時点の情報にもとづいています(最終更新:2026年10月20日)。

マンション総合保険の風災補償は、台風や突風などの「風」に加えて、「ひょう」と「雪」による共用部分の損害もまとめて補償するものです。

一方で、同じ台風の被害でも、川の氾濫や浸水による損害は風災ではなく水災の扱いになります。また、窓の閉め忘れによる吹き込みや、老朽化した箇所からの雨漏りは、風災補償の対象になりません。

この記事では、管理組合の方が理事会や更新の前に確認しておきたい、風災補償の範囲、支払われないケース、被害に気づいたときの動き方を、当社で扱った事故の傾向とあわせて解説します。

この記事のポイント
  • 風災補償は「風・雹・雪」の3つの災害による共用部分の損害が対象
  • 台風でも、洪水や浸水による損害は「水災」の扱いで、水災補償がなければ支払われない
  • 吹き込み・経年劣化による雨漏りは対象外。建物が壊れてそこから雨が入った場合は対象になりうる
  • 多くの商品で風災補償は基本の補償に含まれ、単独では外しにくい。保険料は免責金額や付保割合で調整する
  • 被害に気づいたら、修理の前に写真を残して、早めに代理店か保険会社に連絡する

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マンション総合保険の風災補償で補償される損害

マンション総合保険は、管理組合が共用部分(建物の共用部分や附属設備など)にかける火災保険です。風災補償は、風災・雹災・雪災の3つがひとまとまりになった補償で、多くの商品で基本の補償に含まれています。

災害主な原因共用部分で起きやすい損害
風災台風、竜巻、暴風、突風風圧で屋根材や防水シートがめくれる、飛んできた物で窓ガラスや外壁が壊れる、フェンスが倒れる
雹災ひょう(直径5mm以上の氷のかたまり)ポリカーボネートの屋根に穴があく、窓ガラスや天窓が割れる、屋外の設備がへこむ
雪災大雪、積雪の重み、落雪駐輪場の屋根やひさしが雪の重みで曲がる、上から落ちた雪で下の屋根や設備が壊れる
補償の範囲や条件は、商品や契約によって違います。

ひょうは、気象庁の用語で「積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊」とされています。5mm未満のものは「あられ」です。
出典 気象庁「予報用語 降水」

共用部分で起きやすい風災の事故

マンションの被害は、室内よりも、屋外に出ている共用部分に集中しやすいのが特徴です。鉄筋コンクリート造でも、建物の本体ではなく、屋根やフェンス、設備の部分が壊れます。

風圧や飛来物で壊れやすい場所

  • 屋上の防水シート、笠木、テレビアンテナ
  • 駐輪場やごみ置き場の屋根
  • 共用廊下の窓ガラス、エントランスのひさし
  • 敷地を囲むフェンス、外灯、植栽
  • バルコニーの隔て板

強風で建物の一部が壊れ、その壊れた箇所から雨水が入って共用部分や室内が濡れた場合も、風災の損害として扱われることがあります。
支払いの可否は、保険会社が損害の原因を調べて判断します。

当社で扱った事故の傾向

当社で扱った火災保険の事故の記録(2013年1月〜2026年10月、755件。個人・法人・管理組合の契約を含む)のうち、事故の状況に台風・強風・ひょう・雪の記載があるものは221件で、全体の約3割でした。
出典 当社で扱った火災保険の事故の集計(事故状況の記載から分類)

項目件数・金額
台風・強風・ひょう・雪の記載がある事故221件(火災保険の事故755件のうち約29%)
うち保険金の支払いがあったもの171件
支払保険金の中央値約30万円
支払保険金が100万円以上26件
件数が多かった年2018年43件、2019年38件、2022年44件
当社で扱った火災保険の事故の集計(2013年1月〜2026年10月)。個人・法人・管理組合の契約を含みます。

件数は、大型の台風が続いた年と、関東でひょうが降った年に集中しています。被害は毎年起きるわけではありませんが、起きる年には同じ地域で一度に多くの建物が被害を受けます。

台風の強風で共用部分の分電盤の扉が開き、内部がショートして共用部分が停電した。
強風で敷地内の樹木が倒れ、共用部分のフェンスを壊した。
ひょうで複数の棟の共用の屋根に穴があいた。
当社で扱った事例をもとに一般化した例です。

大きな台風では、損害保険全体で非常に多くの保険金が支払われています。たとえば2018年の台風21号では、火災保険だけで約71万件、約8,790億円の保険金が支払われる見込みと公表されました。
出典 日本損害保険協会「平成30年台風21号および台風24号に係る各種損害保険の支払件数・支払保険金(見込含む)等について」(2019年3月11日現在)

https://youtu.be/iByK6JwA-Kw?si=lYdUeUmV_R2hDhE5
https://youtu.be/bvUXzJ3F_Lk?si=lXNGZhKbdMxKXX5Q

台風の被害でも水災の扱いになるケース

同じ台風による被害でも、風によって壊れたのか、水があふれて浸かったのかで、使う補償が変わります。風災補償をつけていても、洪水や浸水による損害は風災では支払われません。

風災補償で見る損害水災補償で見る損害
主な原因強風、突風、飛来物川の氾濫、大雨による浸水、土砂崩れ
共用部分の例風で屋根や窓が壊れた、フェンスが倒れた地下の駐車場や電気室が浸水した、1階の共用部分が水に浸かった
水災補償の有無や支払いの条件は、商品や契約によって違います。

マンション総合保険では、水災補償を外して契約している管理組合もあります。地下に駐車場や受変電設備、エレベーターの機械がある建物は、ハザードマップとあわせて、水災補償がついているかを確認しておくと安心です。

風災で保険金が支払われないケース

台風のあとに見つかった被害でも、風災によって建物が壊れたことが原因でなければ、風災補償の対象になりません。とくに次のケースは誤解されやすいところです。

状況風災補償の扱い
窓の閉め忘れで雨が吹き込み、廊下が濡れた対象外
もともとあったひび割れから雨がしみ込んだ(経年劣化)対象外
飛んできた物で窓が割れ、そこから雨が入った対象になりうる
損害額が免責金額(自己負担額)以下だった保険金は出ない
最終的な判断は保険会社の調査によります。

「台風のあとだから風災」とは限りません。被害の原因が経年劣化と判断されると、保険金は支払われません。日ごろの点検の記録や修繕の履歴は、原因を説明するときの材料になります。

免責金額と保険金の関係

いまのマンション総合保険では、損害額からあらかじめ決めた自己負担額(免責金額)を差し引いて保険金を支払う方式が多く使われています。以前の契約や一部の商品には、損害額が20万円以上のときだけ支払う方式もありました。

免責金額損害額(修理費)支払われる保険金
なし10万円10万円
5万円10万円5万円
5万円4万円0円
計算の例です。実際の支払額は、契約の条件や損害の認定額によって変わります。

被害に気づいたら管理組合がすること

台風が通りすぎたあとは、目立つ被害がなくても屋上やフェンス、アンテナなどを点検し、修理や片付けの前に写真を残してから、代理店か保険会社に連絡します。

  • 確認台風のあとに、屋上、屋根、外壁、フェンス、アンテナ、駐輪場を点検する
  • 記録壊れた箇所の全体の写真と近くの写真を撮る。日付がわかるようにしておく
  • 連絡管理会社と代理店(または保険会社)に、いつの台風で何が壊れたかを伝える
  • 見積修理業者に見積もりを依頼する。応急の処置をしたときは、その費用の記録も残す
  • 報告理事会に経過を報告し、保険金の請求と修理の進め方を決める

保険金を請求する権利は、保険法で3年間行使しないと時効で消滅すると定められています。ただし、時間がたつほど「その台風で壊れたのか」がわかりにくくなるため、気づいた時点で早めに連絡することが大切です。
出典 保険法 第95条

「保険を使えば無料で直せる」と勧誘する修理業者には注意が必要です。保険金の請求は、管理組合が代理店や保険会社と直接進めるのが安全です。

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風災補償を外して保険料を下げられるか

保険料が上がると「風災補償を外せないか」という声が出ることがあります。ただ、多くのマンション総合保険では、風災補償は基本の補償に含まれていて、単独で外せないつくりです。外せるかどうかは商品によって違うため、契約中の保険会社に確認します。

補償を削らずに保険料を抑えるには、次のような方法があります。

  • 免責金額を見直す 少額の修理は修繕積立金などで対応すると決めて、自己負担額を設定する
  • 付保割合を見直す 建物の評価額に対してどこまでを保険でまかなうかの割合を見直す(付保割合の解説)
  • 保険会社を比べる 同じ補償でも保険会社によって保険料が違うため、複数の見積もりを比べる

どの方法も、事故が起きたときの自己負担が増える面があります。理事会では、過去の事故の件数や修繕積立金の状況とあわせて検討するのがおすすめです。保険料が上がっている理由は、マンション総合保険の値上げの理由と対策でまとめています。

風・雹・雪災の補償は多くの商品で基本の補償に含まれること、被害を受けやすい共用部分の例、免責金額と約定付保割合の見直しで保険料を抑える方法をまとめた図解
風・雹・雪災の補償は多くの商品で基本の補償に含まれること、被害を受けやすい共用部分の例、免責金額と約定付保割合の見直しで保険料を抑える方法をまとめた図解

補償を削らずに保険料を下げる方法は、マンション管理組合の保険料を安くする7つの方法でまとめています。

よくある質問

バルコニーの隔て板や共用廊下の窓ガラスが台風で割れました。管理組合の保険で直せますか?

バルコニーや窓ガラスは、標準管理規約では共用部分の扱いです。そのため、多くの場合は管理組合のマンション総合保険の風災補償で検討します。ただし、バルコニーに置いていた個人の物干しや植木鉢などは、管理組合の保険の対象外です。
出典 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」第7条・第14条。各マンションの管理規約で確認してください。

マンションの設備が強風で飛ばされ、近くの車を傷つけた場合、管理組合は賠償しなければなりませんか?

自然災害による不可抗力であれば、原則として賠償責任は生じません。ただし、老朽化した設備を放置していたなど、建物の設置や管理に問題があった場合は、管理組合が責任を負うことがあります。その場合は風災補償ではなく、施設賠償責任の補償で検討します(施設賠償責任補償の解説)。
出典 民法 第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

台風から数か月たってから見つけた被害でも、保険金を請求できますか?

保険金を請求する権利は3年で時効になるため、期間内であれば請求の手続きはできます。ただし、時間がたつと台風による被害か経年劣化かの判断が難しくなり、支払われない可能性が高まります。気づいた時点で早めに連絡してください。

少額の修理で保険を使うと、次の更新で保険料は上がりますか?

マンション総合保険には、過去の事故の件数によって保険料が変わるしくみを取り入れている商品があります。少額の修理で保険を使うと、更新時の保険料への影響が受け取る保険金を上回ることもあるため、請求の前に代理店に相談するのがおすすめです。

台風の雨で雨漏りしました。風災補償の対象になりますか?

強風で屋根や外壁が壊れ、その箇所から雨が入った場合は対象になりうるものの、経年劣化による雨漏りは対象外です。詳しくはマンションの雨漏りと保険の解説で説明しています。

マンション総合保険の風災補償のまとめ

風災補償は、台風・突風・ひょう・雪による共用部分の損害に備える補償です。屋根、フェンス、アンテナなど屋外に出ている共用部分ほど被害を受けやすく、大きな台風の年には一度に多くの建物で被害が出ます。

一方で、浸水は水災、吹き込みや経年劣化による雨漏りは対象外というように、補償には範囲があります。理事会では、風災補償の内容と、水災補償の有無、免責金額をあわせて確認しておくと、いざというときに慌てずにすみます。

代理店の現場から(監修者コメント)

横田 正則 株式会社キューブコンサルティング 代表取締役

当社の事故の記録を見ると、風災の事故は大きな台風やひょうの年に集中しています。被害が出たときに困らないよう、台風のあとの点検と写真の記録を管理会社と決めておくことをおすすめします。保険料の見直しで補償を削る前に、免責金額や付保割合で調整できないかを一緒に確認しましょう。

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参考資料

この記事は保険の一般的なしくみを説明するもので、特定の保険商品の内容を説明するものではありません。補償の内容や支払いの条件は、商品や契約によって違います。実際の契約内容は、保険証券や重要事項説明書でご確認ください。

横田 正則

株式会社キューブコンサルティング 代表取締役

損害保険トータルプランナーAFP宅地建物取引士相続診断士一種証券外務員コンクリート技士

保険代理店「ほけんの王様」を15年以上運営し、16社以上の保険会社の商品を取り扱う。マンション管理組合の保険をはじめ、中小企業の労災・賠償への備えについて、経営者からの相談に数多く対応してきた。AFP・宅地建物取引士・相続診断士として、保険と不動産・相続をあわせて考える提案を行っている。

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運営:株式会社キューブコンサルティング(保険代理店「ほけんの王様」) 会社概要 勧誘方針